第9話 ヒトミンは知っている。
急に神林さんが割り込んできた。
「いやいや、君強すぎるでしょ。
ただの能力者にしてはさぁ。」
過分に評価されてしまったらしい。
「ヤレヤレダ。」
いや、なめられている。
「いえいえ、俺は能力者としてはまだまだですよ。」
「この子じゃ相手にならなかったでしょ?
良かったら私が相手になってあげるよ。
最近、訓練さぼってたからさ。」
「つまり、リハビリの練習相手になれと?」
「そうともいうねぇ。不満かな?」
ベストなコンディションじゃなくても勝てると判断されたのは悔しい。
だが、ランクⅩの異能力者はそれぐらいには強いのだ。
「喜んで。胸を借りる気持ちで挑ませてもらいます。」
強い奴と戦うのは心が躍る。
「胸は勘弁して欲しいかな。彼氏がいるからさ。」
こんなふざけた奴が相手でも。
人を変え、また戦いは始まった。
先ほど同様に魔法陣を大量生成、一斉発射、改変を多用しても一向に弾が当たらない。
次はあてることだけを意識してやってみる。
とにかく、下手な鉄砲数撃ちゃあたる。
ドーム状に覆うように魔法陣を生成し
「
からの
「
どうだ、一発ぐらいは当たるだろうか。
「なるほど、その手があったか。
これはヒトミンの苦手パターンだ。」
回避することを諦めたらしい。
全弾命中する。
土煙が上がり、見えたのは、
「うへー、煙い。」
無傷の神林 瞳であった。
「参考までにお聞きしたいのですが、どうやって耐えたのですか?」
するとあっけらかんと答えてくれた。
さも当たり前のように
「着弾する場所だけをピンポイントにリソースで強化する。
それだけだよ?」
「はっ!?」
そんなの無理だろ。
全弾、具体的には600発以上はあるんだぞ。
それらを予測して防ぐなんて人間じゃねえ。
「あー。驚かせちゃったね。
ホントはダメなんだけど。
治安維持隊だから特別に。」
そういうと神林 瞳は急接近してきて
「ヒトミンの能力は
俗に言う未来予知なのさ。」
耳元でつぶやく。
身体強化を発動させていなかったので反応が遅れた。
ただ、幸いなことに攻撃はされなかった。
離れてから、もう一度話しかけてくる。
「そろそろ、君も能力使ったらどうだい。
魔法使い君。」
魔法使いって言ったのはわざとだろうな。
それにあの発言は俺の今までのが
能力じゃなくて魔力によるものだと知っての発言だ。
「仕方ねえな。まだ、魔夜にしか教えてないんだけどな。」
俺は能力を発動させる。
「
そして、次の瞬間には奴の背中に蹴りが炸裂していた。
柱に激突する神林 瞳。
「ごほごほ。いやぁ、今のは見えなかったなあ。」
蹴られた背中をさすりながら起き上がってくる。
「イタタタ、こっからは手加減しないからね。」
軍部最強の本気か。楽しくなってきた。
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