第6話 憶人、初めてのおつかい
先輩との激闘の翌日、さっそく任務が割り振られた。
「軍部の戦闘訓練に参加してこい!?」
白夜さんは元軍人で軍部にスカウトされたが断った。
ただ、どうしても(英雄に鍛えられたという)ネームバリューが欲しい軍部。
その結果週一で戦闘訓練を行いに出前授業することで落ち着いた。
「最近は国際情勢が穏やかでない。
そんなときにワシ直々に軍部を強くしてやったらどうなる?
各国はこの
戦争が始まってしまうだろう。
だから、いつもは朱兎に行かせていたんだが、
今日は朱兎も忙しくてな。憶人、お前に任せる。」
と言われてしまい断るり切れず、俺の初任務は軍部での出前授業(といってもただの乱取り)となった。
いつもの朝食を取り終え
「ごちそうさま。鏡子さん、今日もおいしかったです。」
席を立ち二階の自室に荷物を取りに戻る。
軍部の能力者ともなれば(先輩や白夜さんほどではないにしろ)それなりに強い。
これからそんな奴らをまとめて相手しなくてはならないのだ。
前回のようにうっかり解眼してしまうかもしれないので、
魔夜お手製_魔眼殺しコンタクトレンズを装着。
「これで準備よし。」
早速出発しようと玄関へと、再びダイニングに降りてくると鏡子さんが布団片手に玄関で待っていた。
「憶人さんももう出られるんですか?
私も丁度、軍部の方に向かう予定だったんですよ。
良かったら乗っていきます?」
といって布団を揺らす。
そう、鏡子さんも能力者なのだ。
能力は
愛用している物を付喪神(鏡子さんはツクモンと呼んでいる)にする。
ナイフなら切断、フォークなら貫通といったように物のもつ概念を引き出す。
そして、ツクモンは飛ぶ。
殺し無の戦闘なら先輩の方が強いが、殺しアリなら断言できない。
ただ、弱点ではないが欠点はある。
殺傷力があり過ぎて余程の相手としか戦えないことだ。
なので、普段は俺たちのサポートにまわってくれている。
今回だってそうだ。
「この魔法の敷布団に!」
ドヤァ。うちの子はすごいんですよ。
っていうのがひしひしと伝わってくる。
鏡子さんがそういうことができるのは買い出しに出かける場面に何回か遭遇し
ているので知ってはいた。
空は男のロマン。
そして、俺は空を飛べない。
「じゃあ、お願いします。」
二つ返事で了承。願ったりかなったりだ。
庭に出て、布団に乗る。
やがて、布団は宙に浮き、
「しっかり掴まっててね。
今日は全速力でかっ飛ばしたい気分なの。
行くわよ。しゅっぱーつ。」
「ぎぃ~~あああ~~~。」
いやぁ、ハンドル持つと性格が変わる人は実際にいて、人は死を感じると逆に冷静になるんだなと思う今日この頃でした。
安全運転大事。マジで。
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