第1話 治安維持隊のいつもの朝食
俺ー藍花 憶人がベッドから上体を起こしてからしばらく経ち、
「おーくと、おーはよ。」
といつものように魔夜が起こしに来た。
彼女は見た目こそ10歳やそこらだが、
能力開花事変の日、赤ん坊だった俺を拾ってくれた母親のような人なのだ。
口には出さないが、俺は魔夜が好きだ。
15年も一緒にいてくれた、家族として。
ただまぁ、掛布団の上から俺の両足を手で押さえつけ
「憶人おはようのキスは?」
このようにす~ぐ誘惑してくるものだから、
魔夜の俺に対する好きはLOVEなのかもしれない。
が、幸い、
「魔夜さん、憶人さんは起きましたか?」
と下の階から料理を作っている北上 鏡子さんの催促があるため過ちは起こらない。
「すいませ~ん。今下ります。」
そう言って、魔夜を布団から引っぺがし、一階へと向かう。
「おはようございます。白夜さん。あと、うさちゃんパイセン。」
先に椅子に座って待っている二人に挨拶をする。
一人は俺と魔夜を拾ってくれた命の恩人の白夜さん。
もう一人は年が一つ上だからって威張ってくる片桐 朱兎先輩。
(実際俺より背が低く)尊敬する気が一切わかないため
うさちゃんパイセンと呼んでいる。
「ずいぶんな口の利き方じゃねえか。あぁん。」
「そんな見つめてもニンジンは出で来ないですよ。」
そうして、朝食が出てくるまでの間、俺と先輩はいがみ合いは続く。
やがて鏡子さんが朝食全員分を運んできてくれた。
そして、料理も食べ終わり、縁側で一息つく。
だというのに、その静寂を破るようにして先輩が言う。
「今日は治安維持隊入隊試験の日だろ。そんなんでいいのかよ。あぁ。」
と言ってくる。
実際ここの入隊試験はかなりハードでランクⅦ以上の能力者でも厳しいのだ。
実際、英雄_白夜に憧れて軍部からこっちの方に移りたいといっては
コテンパンにされている人たちを数多く見てきた
俺は無気力ながらも立ち上がり、白夜さんの指示を待つ。
そうして、白夜さんの口から出た言葉は
「朱兎相手に善戦をしろ。」
だった、
「それって勝ってしまってもいいんですよね。」
俺の確認にただ頷く白夜さん。
お互い殺る気満々。
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