社会の辛さと自分の弱さ①

 紆余曲折あった大学を無事卒業し、新社会人になることが出来ました。


 僕が最初に入社したのは水回り資材の卸売りの会社です。正直、就職活動には大失敗してしまいました。本当は他にやりたいことがあったのですが、それを親が断固として許そうとはせず、仕方なく世間体の良さそうでかつ、人と話すことが好きな僕に合いそうな営業という仕事を選んだのですが……。


 その会社に決まったのはもう卒業を間近に控えた二月の終わりでした。時間が無く、取り敢えず目に入った会社に応募してしまい、受かってしまったのです。


 お察しの方も居られると思いますが、建築系に関わる会社は総じてブラックです。尚且つ、気象の荒い人間も多く、それまで飲食系のバイトしかしていないなかった自分にはあまりにも過酷でした。


 加えて、自分は恐らくADHDです。人の話がまるで頭に入って来ず、資材の知識が一年経ってもまるで身についていませんでした。サボっていたわけではありません。必死になって学ぼうとしましたが、環境がそれを許してくれませんでした。


 同期も居らず、仕事はキツい。相談できる相手も居ないまま孤独な時間が過ぎて行き、一年経った頃にはうつ病を患っていました。


 退職の切っ掛けになったのは、愛する祖父の突然の死でした。もうそこが限界でした。僕は通夜の後暫く休み、そして退職届を提出しました。


 身も心もボロボロで、実家に何とか転がり込みます。無職のまま家にお金を入れる事になり、僕は慌てて次の仕事を探しました。


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