第27話
「あらあら、赤ちゃん、ほんとうに赤ちゃんみたいよねー。こんな田舎でずーっと1人に未練たらたらで、我が甥っ子ながら、どうしたことかしら?」
って、ハイボールがジョッキで、でん!っと目の前にきた。
いや、これは、メガサイズでは?
「サービスよ?サービス。こんなイケメンなかなかあえないもの」
「まさかまだまだ現役?って、痛い!」
思いっきりお盆ではたかれたぞ?いま。俺は客では?しかもはじめての?
「客なら何やっても許されるわけないでしょ?」
「失礼しました」
「そういうところ、あの親の子供よね?いや、おじいちゃんの子かしら?」
「ああ、じいちゃんをご存知なんですか?」
「まあ、せまい田舎だし、飲み屋はねえー。社交的だったし、あなたのおじいちゃん。いつもとなりに小さな無愛想な子をつれていたわね」
にこりともしないこ、って言われた。
「あなたじゃないわよね?その子が神城さんの娘さんと結婚したのよね?あと赤ちゃんから、和菓子やの真央ちゃんを奪った子」
「…俺の弟を言われ放題ですね」
「だって、2人とも黙ってるんだもの。私ですらよく2人で通学してるのを見たわよ?」
「そりゃあ、春馬たちの高校は通学時間が長かったんで、柴原をよく送ってたみたいですけどね」
「おかげで、赤ちゃんはますます勘違いしたわけよ?」
「俺がきいたのは、もともと赤木は柴原じゃなくて、神城狙いで、ひどい振り方したってなってますけど?」
たしか、神城がスカウトされた時に、春馬が彼氏って言って、赤木がなんで春馬なんだって言って修羅場になったとか?
似たような話ばかりきいたが?
「まあ、真実は人それぞれ?」
って、ママさんは、小さなお猪口をさしだし、乾杯してきた。
日本酒じゃなく、いも焼酎だ、
黒霧島。
最近、品薄に一回なったような?
南九州だと手土産に、一升瓶を二本、縄でまいて持ってきたりするよな。
よく仏壇にも上がる。独特の香りの芋焼酎。
「イケメンと、赤ちゃんの失恋と、まあ、なんか女の悩みなら、きくわよ?」
ってわった人懐っこい笑みはたしかに赤木の血縁者っぽいよなあ。
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