第24話

まだ仕事が残ってる浅井さんとわかれて、俺は自分の車に乗った。


弟の春馬はマニュアル車に乗りたくて、ふつう免許をとったけど、俺はどうせとるなら、って感覚で教習所に通い,結果的に、オートマが楽だし安心ってなった。


だから車もとくにこだわりなく、探せたけど、田舎じゃシェアとかなく、とりあえず維持費や燃費やらを考えたな。


俺は,昔からミニカーとか興味ないし、釣りもあまり?


虫取り網を持って走り回る春馬をじいちゃんがいない時は、追いかけたけど。


アイツの場合、川にまで魚や小エビや水性生物とりにいってしまうし。


ザリガニは小さな水路だけど、カニなんかは,川の石の裏側とかだし。


足首までとか言っても、いつなの間にか頭からまで、びしょ濡れだし?


こっぴどく怒られるが、毎回、春馬は目を離したら、どこかに行ってしまう。


それこそ虫籠にヤマカカシを入れていた時は、じいちゃんからも注意されていた。


毒蛇だから、ダメだと。


他に比べたら穏やかな性格だけど、毒があるし、野生のものは基本的に条例などでかえない。


命には責任がくる。蝶だって羽にさわらないように、できるだけ編みにいれたまま、虫籠にうつすだろ?観察したら、標本する気がないなら逃すだろ?


育ててくのは、大変だし?


動物を飼う以上、いろんな制約はあるんだ。飛行機に乗せる時も、キャリーケースは厳格な安全基準があり、満たされないなら航空会社のキャリーケースをレンタルになる。


こと細かく。犬を預ける場所の気温変化や、気圧の変化、だれも見れない場所にいること、なにかあったら人命優先、とにかくペットの生命は保証できない、そういう説明があり、サインして、ペットの飛行機代も払うけど。きちんと説明はあった。


いまも変わらないと思うけど。春馬と違ってうちのラッシーはまあ可愛いというかうちの犬だし?情はあるけど、俺はショッピングモールとかにペットショップとかあっても、わざわざいかないし、やっぱりにおいとか違うし。


あんなただでさえ、人間の赤ん坊ですら、気を使ってるとこに、ペットなんかむりじゃね?


赤ちゃんにすら手厳しいのわすれてんのか?


まあ、いろんな意見があるだろうけど。いつかは、冷静になってくだろな?


それともこれからは、AIが家族みたいに会話相手になる世界なら、AIを守るために?とかなるをかなあ?


たしかに一人暮らしでAI相手に会話してるやつらもいるし、俺も一台いるしな。


何気なくインスタントラーメンのタイマーはかったり、いま何時かきいたり?


(時計見ればいいだけだよな?)


なんかそのうち時計見なくなりそうで怖くなるが。


ヤマカカシを連れては帰らなくなった春馬は、じいちゃんが老いるにつれて、だんだんとラッシーといる機会がふえたな。


あの日アイツがラッシーと土を掘り、クルクルまわりしたネズミ花火。


空気を微かに震わすパンって音。


煙る、火薬の匂い。


しずかなあの瞳は、いつきえてもわからないくらい、あやふやで繊細なものだったけど、いまの春馬にそれはない。


会うたびに、なんかしっかりしていく。春馬なりに大人になってく。


いつかバラエティー番組をみたとき、結婚したら、守りに入る。笑いに攻撃的になれないから、芸の妨げになるようで、怖いって意見と、

守るべき存在があるから、きちんと頑張れるって意識が出るって、意見といろんな討論があって、たしかに、いろんなことが変わるんだろな。


春馬を見てると、昔のあやふやな春馬じゃなくない。もうきちんと神城を守ると、神城から逃げないって意思がみえる。


小さな儚い重さがやがてずっしりと、大地に足をつけても、その命が果てるまで、春馬や神城には,守りたいものができたんだろか?


俺にはわからないけど。さっききいた浅井さんのセリフ。


先輩をずっとそばで支えただろう森野さんや浅井さん。


俺はたしかに2人ほど先輩を知らないけど、


(もう惚れてる)


とだけ、わかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る