第16話


俺は和也と別れて、とりあえず先輩の仕事場へむかう。


むかいながら、俺は残業なしだっだけどな?って思った。先輩が働いてる部署は、特殊だし、わりと深刻な場合もあれば、爆笑できる珍事に遭遇するとは、親父からきいたけど。


ひと、さっき頭に浮かんだリスクを考える。幸いいまなら、先輩は完全に俺を春馬の兄としか理解してない。


(それともリスクに気づいてるから、無意識に俺をかわしてたのか?)


俺と違って神城明日菜の姉ってだけで、先輩にはいろんな先輩以外の価値がきそうだ。


俺だって一時期、春馬が神城と結婚って、情報丸裸になったとき、わりとさわがれた。


あっさり俺までSNSにのったらしい。知人の知人のさらに知人。


俺が知らないヤツ情報。


まあ、俺自身は、自分からなんもSNSやってないから、あまりダメージなかったけど、


(その知人にあったことないんだよなあ)


別れた元カノの、さらに別れた元カレのさらに元カノの彼氏。


(なんか俺は関係ないよな?誰の関係者なのか?)


いまだに、なぞなシステムだ。


まあ、淡々とすごしていたし、俺が勤めてた会社はSNSに厳しかったから、社員教育で散々リスク管理について研修があった。


まあ、営業職だから守秘義務は絶対だしなあ。


そんな事を思いながら、あまり民家がすくないから、日が暮れたらくらい道をはしる。


信号も少ないから、わりとすぐつく。


東京なら30分でも、信号や渋滞ないから10分みたいな?


(たしかに、先輩の小さな軽自動車がとまってる)


駐車場に2台…、いや、3台?


あまり見ない車から、俺が車から降りると同時に、田舎じゃあまり見ないような服装の若い女性がおりてきた。


つい最近まで東京にいた俺には、まあ、都会に比べたら地味なお洒落に抑えたのか?だけど。


わりと派手目な美人が目の前にたつ。踵が高い系の靴履いてるが、意識も高そうだな?


(おれもだけど)


「こんばんは。役所の方ですか?」


と、わりと派手目な見た目に対し、きちんとした問いかけがあった。


言葉のイントネーションが、平均的な音がする。


「違う部署ですけど、役所のに勤めてものです。こちらに用事ですか?私も中に行くから、一緒に行きますか?」


俺がそういうと、俺と同年代の彼女は、ぱっと華やかな笑顔をみせた。顔立ちが南国風のくっきりした美人だ。


手足もスラリと長くて、着ているものも、さりげなく彼女の年齢なら、無理なく買える範囲内のブランドだ。


ファッション誌によくある街角で見かけたお洒落コーナーに載ってそうだな?


ちなみに俺も東京で何回か声かけらたが、すべて断った。すきなサッカーチームのサポーターの時は友人と、熱血ぶりをアピールしたけど。


同じ写真なのに、なんか違うよなあ。


「ありがとうございます。彼氏がまだ仕事してるみたいで、しばらく待ってたけど、でてこなくて。仕事中は、あまり連絡取れないって言われてるから、待ってたんですけど…」


って言いながら、彼女の視線が朝陽先輩の車にいき、眉をよせる。


「朝陽先輩と知り合いですか?」


「先輩?朝陽の後輩なの?」


思いっきり嫌な顔になる。どっかでみた反応。は、


(俺だよな?)


結局は飲料水が捨てたし。


彼女は自分の表情の変化に気づいたらしく、顔を少しくもらせた。


「ごめんなさい。どっかでみた顔だと思ったけど、明日菜が結婚した相手のお兄さんだよね?颯太からきいてる」


「べつに謝られる必要ないですけど。なんか先輩とあるんですか?」


「ただのできがいい幼馴染への嫉妬」


って彼女は形のいい唇をとがらせた。マニュキュアがよく似合う指だな?


「俺は村上竜生です」


「私は森野花音」


「へぇ、きれいな名前ですね」


「親は鈴虫になって欲しかったんでしょね」


(ーへんな人だ)


俺は内心でツッコミしながら、一緒に建物にはいる。


そうしてきこえた会話。


「颯太のそういうとこ好きだよ?」


って先輩の声がはっきり廊下に響いてたんだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る