第14話


俺が最後のパソコンのキーをたたいてると、


「そういえば、颯太はチェレスタって楽器知ってる?」


「チェレスタ?いや、弟の図鑑にはなかったような?」


相変わらず唐突に話がかわるなあ、と思いつつきいた。


「オルガン制作者が作った鉄琴をオルガンみたいにしたやつだって。楽器なら、110まんとか?」


「高いな?」


「電子ピアノ万歳だよね?」


そういえば、朝陽姉妹は習ってたな。ピアノは本物はすごい値段だけど、電子になると、色々だ。


「明日菜のカエルが最近、ウッドパズルにハマっててね?ユーギアーズってウクライナのパズルメーカーに、500パーツちょっとで、チェレスタがあって、作ったんだって」


「ヘェ〜、頭いいやつの趣味って変わってんな?」


「たしかにカエルはいい大学行ってるけど、明日菜の親友は日本でいちばんに行かないのを、本気で教師が嘆いてたから、たぶんカエルはカエルだよ?カエルはカエルだよねー。ウーパールーパーに進化しなかったらしい」


「進化ねじ曲げんなよ?」


(俺はよく知らないけど。と思いつつ最後のデータを打ち込み、プログラムを終了する。


「終わったから、帰ろうぜ?で、チェレスタがなんて?」


「うーん?きれいな音色だけど、明日菜が引くのはコギツネやジングルベルやトトロだけど、カエルリクエストがね、非常ベルや怪音なんだって」


「明日菜相手によくやるな?」


「まあ、カエルだしね?カエルはきっともう、明日菜が仕事行かないと、神城明日菜より、村上明日菜になってるんじゃない?もともとあのカエルそうだし」


「まあ、いいんじゃね?明日菜が幸せならさ?」


俺がいうと、朝陽がふきだした。


「颯太はそうだよね?明日菜が幸せなら?って。ね?私、颯太のそういうところ、昔から好きだよ?」


っていつもの調子で朝陽が言った時、


からん、って缶が落ちる音がした。


振り返るとイケメンと、なぜか質素な服装の花音がいた。いや、喪服だ。


「あれ?カエル兄?じゃない、後輩くんに、花音どうしたの?」


「俺は先輩に用事があって会いに来たら、駐車場でこの人とあって」


「わ、私は、親戚の3回忌で、たまたま帰省したから、ついでに颯太にあいにきたら、なに?いまの⁈」


花音の怒気に俺と朝陽は顔を見合わせた。ふたりとも、?、だ。


なんかいま変だったか?

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