第11話


「浅井颯太?」


「そう、中学校はべつだけど、神城とは同じ小学校だった人だよ?いまは、役所の支部にいる。よく神城の姉と一緒に地域の高齢者宅をまわってるってさ」


「そういえば、べんり課だっけ?お助け隊だっけ?試運転していたな?」


「まあ、体力ある男の力いるだろうし、ボディーガードかねて、2人1組らしいぞ?」


「…まあ、それなら、安心?」


たしかに田舎すぎると夜とかあぶないしなあ?夜どころか昼間も薄暗い山道あるしなあ。


人気より猿気がするし?


(けど、誰だよ?朝川颯太って。いや、名前はいまきいたし、俺は春馬じゃないから覚えたけど)


「せまい世界だから、地元残ってるやつから話きくと、幼馴染の腐れ縁の彼女がいるらしい。わりと美人で有名だったってさ。まあ、俺らの時代は神城や柴原いたから、わからんねえけど」


「ああ、それで、ダブルデートか」


つい納得したら、和也が首を傾げた。


「ダブルデート?」


「朝陽先輩に誘われたんだよ?ダブルデートに。たぶんその浅井颯太って人のカップルとだ」


「そりゃ災難だな?」


和也は同情したように俺を見たけど、


「なんでだ?先輩、かわいいし、明るいしラッキーだぞ?」


「いや、身内の自慢はぬきに、確かに神城の姉ちゃんは、人気あるけどさ?人柄で、めちゃくちゃあの人嫁に来て欲しいコールが役所にあるらしいぞ?」


「まじか?」


「てきとうに役所があしらってるらしいが、年頃の息子をもつ連中は囲いに行ってるらしいけど?おまえも娘を?とかないのか?まあ、女子はかなり外出てるけどなあ」


「俺は、こっちにまだかえったばかりで、あまり信用ないらしい」


いちど外に出てるしなあ?まだ、若いしなあ?


って何回かいわれた。


「やっぱり東京ってすごいのか?」


「まあ人は多いな。あんまり野生の猪にびっくりしないんじゃないか?」


車に積むとこみながら、


(丸々してる。でかっ?)


秋はたしかに実ってるらしい。


でかっ!


とかないだろうし。


ただ、でかっ!


だし?


逆にあんな人ゴミや外国人だらけの観光地って、うちの田舎じゃないしな。


ふつうに目立つ。


「ふうん、やっぱり日本人に生まれたからには、一度くらい行くべきか?」


「べつに行かないでもよくね?首都TOKYOくらいで」


「なんでアルファベットなんだよ?」


「日本に住んでていちいち東京が首都とか勉強以外で使わないだろ?」


「TOKYOの方が使わねーよ。そういうとこは、おまえと春馬ってやっぱ兄弟だよなあ?」


「まあな」


俺が頷くと、和也はニヤッと笑う。


「なんだ、少しは成長したのか?」


「まあな。いつまでも春馬に片想いじゃないさ、俺も」


「って、本命できたのか?」


和也がびっくりして俺をみる。


「いつの間に?」


役所にそんないい女ってー。


と和也はいいかけて、目を驚に丸くした。


「神城姉ちゃんか⁈」


「神城朝陽って名前だよ?」


神城姉はよせよ?って俺は思ったが、先輩が俺を、


カエル兄。


ってよんでるのは、あとで知った。


…俺って健気だよなあ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る