第20話  消息不明

 いつも通り依頼をこなして報酬を受け取りに冒険者ギルドの中に入ったら、受付のマルディルと冒険者仲間達が暗い顔をしていた。


「皆さんどうしたんですか?」


 マルディルが重々しく口を開いた。


「トニー君、実はね······ガテツが消息不明になったんだ。」


「どうしてですか?詳しく教えてください!」


「ガテツは依頼で魔王城の潜入して城の内部を調査していたんだ。昨夜までは身に付けている通信魔導具で順調に依頼をこなしているとガテツから連絡があったんだけど、さっき(夜)に連絡をとろうとしたらできなかった。なんか遭ったのかもしれないと思い、通信魔道具に発信機が内蔵しているからそれがある場所を調べたけどわからなかった。」


「それで消息不明····。落としただけではないですか。」


「それも考えたけどそれなら調べたときに何処にあるかわかるはず。壊されたんだよ、誰かに。」


「誰かにとは?」


「魔王or魔王の四天王のどちらかだろう。ガテツほどの実力者がおくれをとるならそれしか考えられない。」


「ガテツが?強いのに」


「魔王の四天王1人なら楽勝だろうけど、複数だったら厳しい。」


「これからどうするんですか?ガテツ助けられるんですか?」


「他の場所なら救助隊を編成して助けに行けるけど、今回は魔王城だから諦めるしかない。あそこに行きたがる冒険者はいないから。」


「そんなっ····誰も助けに行かないなら俺が1人でも行きます。まだガテツに恩返しできてないから。」


「それは駄目だっ、トニー君!君はC級冒険者だから魔王城に行っても犬死にするだけだ。ガテツは君が死ぬことは望んでいない。」


「マルディルさん、それなら俺がS級以上の実力があることを証明したら魔王城に行ってもいいですか?すぐにとは言いません。1ヶ月後にそれぐらい強いことを証明して見せます。」


「わかった、証明することができたら認めよう。しかし条件がある。」


「条件?」


「それはちゃんとパーティーを組むこと。君のパーティーは今はゴブリンしかいない。それでは君が強くなってもガテツの二の舞になるだけだ。ちゃんとしたパーティーを編成して強くなったら魔王城に行ってもいい。」


「わかりました、その条件でいいです。1ヶ月後にS級冒険並のパーティーを編成してここに来ます。」 


「わかったよ。」


 俺は冒険者ギルドの外に出て宿に行った。


 宿のベッドにダイブした。


 明日から修行と自分のパーティーに加入してくれる仲間探し。色々と不安で押し潰れそうな中、眠った。


 

 

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