第12話 真夜中の魔獣、そして朝

 尿意をもよおして起きた。

 

 この異世界ではトイレというものはない。


 代わりに魔法で体内の排泄物を消し去るか、魔導具で排泄物を体内から吸収するかの2択だ。


 俺は魔法は使えるが、そんなことで魔力を減らすのは馬鹿らしいのでミクローさんに魔導具を借りた。

 この技術は現世のトイレよりもハイテクだと思った。


 魔導具で排泄をした。


 手で魔導具を持っていれば吸収されるのでとても楽だった。


 寝直した。


 しばらくして、

〈ドシーン、ドシーン·········バァーン······ガシャーン〉

 と派手な音が外から聞こえて俺は起きた。


 ······もしかして今外にいるのは、言い伝えの大型魔獣。本当にいたんだ。


 外のゴーレムが心配になったけど、どれくらいの数残るかも検証になるからそのままほっといた。


 何時間か経過して朝になった。


 外に出てみた。


 すると、凄惨せいさんな光景がひろがっていた。


 全てのゴーレムが粉々に破壊されていたのだ。

 

 そして巨大な獣の足跡もちらほらと残っていた。


 たくさんいた大人ゴブリンを、石で倒したゴーレム7体でも勝てない相手なんだと実感した。


 俺はこのままだと次の場所に迎えないので、ひとまず新しくゴーレムをつくることにした。


 前回は7体だったので同じ数つくった。


 前よりもそこまで魔力が減った感じはしなかった。


 もしかして土魔法を繰り返し使用したので魔力量が増えたのかもしれないと考え、久しぶり『ステータスオープン』と念じた。


『ステータス』

[種族]人族 イザーク·アンスロポス(2)

[レベル] 10 [ジョブ]王子[魔力]2万45[武力]16

[スキル]

【武人1】武術の上級スキル。初見でだいたいの武器が使いこなせる。

【賢者5】『火、水、土、風、雷、光、闇』全属性の魔術が使える。

【醜男色3】女は誰でもこのスキルを持つものが怪物にみえて嫌悪する。男は美男は普通で醜い男には好かれる。

【王族3】街で買い物をすると、安くアイテムが買える。


 ·····やった〜!全体的に上がっている。

 

 魔力は前回の2倍で、【賢者】も2つレベルが上がっている。これは土属性と闇属性の魔法を複数回使ったことが大きい。

 レベルもいっきに10まで上がった。大人ゴブリンを複数人殺したことによって経験値がたくさん入った影響だろう。それで武力も少し上がった。

 【醜男色】のレベルが上がったのは、また男に囲まれた生活をしているからだろう。


 ステータスをみて武力の値が低い。

 魔力が効かない敵が現れたときにこれでは俺は勝てない。

 だから俺でも持てる武器を土魔法で作って、弱い敵をその武器で倒し、武力を上げることにした。


 それをするのはここから出た後にしよう。

 出る前にまだミクローさんに夕食と宿泊の礼を言えてないからミクローさんが起きたときに言わないとだ。

 

 ミクローさんが起きた。


「トニー達もう起きていたのか。」


「はい。」


「早起きは健康に良いからその心掛けは大事だ。トニー達はもう次の場所に行くのか。」


「はい。今から行こうかと思いまして。」


「そうか。でもその前に朝食も食べていけ。長時間移動するとお腹空くから。」


「いいんですか?朝食もいただいてしまって。」


「こんな小さい子供達に何も食べさせないで行かせるのは私の主義に反する。」


「夕食をいただいたうえに朝食も、ミクローさんありがとうございます。」


「おう、気にするな。またキャベの塩漬けのスープだから。」


「それでもありがたいです。いただいてばかりで申し訳ないので何か俺達にできるお手伝いはありませんか?」


「そうだな。この家の掃除と薪割りかな。」


「わかりました。」


 掃除は一郎、二郎、三郎に任せて俺は薪割りをすることにした。


 薪用の木は重くて運べないので、普通ゴーレム1体に木を運ばせる。


 薪割り台にのせるまでをゴーレムにしてもらって、

俺は風属性の魔法で薪割りをする。

 

 普通ゴーレムに全部やらせればとも思うがそれでは俺がお手伝いをしたことにならないので駄目だ。


 それも薪割りで風属性の魔法を練習するチャンスだからやるなと言われても俺はやる。


 土属性とかの魔法と同じ要領でイメージ。

 イメージで風の刃ができた。それを薪割り用の木に振り下ろすと、

〈パキーン〉薪割り台と地面が少し割れた。


 ·····やり過ぎた。魔力が高過ぎてこれは薪割りに向かないな。


 わりと大きい音だったので、家の中にいたミクローさんとゴブリン達こっちにが来た。


「何か大きな音がしたが、トニーは大丈夫か?」


「すみません。薪割りを風属性の魔法でやろうとしたら薪割り台と地面を割りました。」


「風属性の魔法は危険だから、護身のために使いなさい。いいね、トニー。」


「すみません·····」


 ミクローとゴブリンは家の中に戻った。


 俺は風属性の魔法の使用は今は辞めた。

 地面と薪割り台を修復して、普通ゴーレム1体に薪割りをさせた。


 普通ゴーレムの手際がよくてすぐに終わった。

 

 俺は家の中に入った。


「ミクローさん、薪割り終わりました。」


「風属性の魔法は使わなかったよな。」


「普通ゴーレム1体に薪割りさせました。」


「そうか。便利だなゴーレム。まぁ朝食もできたからおあがりなさい。」


「いただきます。」


 しばらくして全部食べ終わった。


 使った食器は魔導具ですぐにきれいになった。


 俺達はこの家から出る前にミクローにもう一度お礼を言って次の場所に向かった。


 


 



 


 


 

 

 


 


 

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