第11話 さびれた農村

 俺達一行は、森を歩いていた。


 しばらくして、やっと煉瓦れんがでできた家をいくつかあるのを見つけた。


 今度こそ人間がいるといいな。

 俺はそんなことを思っていた。


 1番近くの家のドアを普通ゴーレムにノックさせた。


 出てきたのは、髭面ひげづらの小人だった。

「お前らは何者だ。ここにはもう食べ物もほぼないから強奪できるものはないぞ。」


 巨大ゴーレムに『降ろせ』と、念じて地面に降りて話した。


「違います。我々は旅の道中ここに来ただけで、盗賊まがいのことはするつもりはありません。」と俺はペラペラと喋った。


 髭面ひげづらの小人は疑いの目で、

「嘘をつくな。小さい子供1人、ゴブリン3人、ゴーレム7体で旅なんて信用できない。帰ってくれ。」とドアを閉められた。


 しょうがないので普通ゴーレムにこの小人の家のドアを破壊させた。


〈バァ·······コーン〉

 

 発泡スチロールのようにドアを破壊した。


「お前ら······やっぱりロクでもないじゃないか。」


「アンタが話を最後まで聞かないでドアを閉めるからだろ。別にドアぐらい、俺の土属性の魔法でより強固につくれますよ。」


「お前のような小さな子供が魔法など、できるわけ無いだろう。」


「信用していないなら今から見せますよ。」


 土属性の魔法で新しくドアをつくった。


 髭面ひげづらの小人が腰を抜かしていた。


「お、お前魔法ができるのか?」


「はい、ゴーレム7体も俺がつくりました。信用されました?」


「も、もちろん·····しかし、何故お前のような小さい子供がゴブリンとゴーレムを引き連れて旅をしている。本当だったらまだ両親と生活している年齢だろ。」


「事情があるんです。理由は言えませんが。」


「そうか。」


「あの話は変わりますが俺は人族の国アンスロポスから来たんですけど、ここって何処ですか。事情があって地理に詳しくないんです。」


「ここは、小人族の国ペィビィだ。」


 ペィビィ?そうなのかもうアンスロポスから別の国まで来たのだな。


「あの·····アンスロポスとどれくらい離れていますかペィビィは?」


「確か隣国だぞ。『獣の森』を通ればすぐだ。」   


 俺達が通ったのは『獣の森』か。もしアンスロポスに戻るとしたら別のルートから帰ろう。危険だから。


「教えていただきありがとうございます。」


「別にたいしたことは言っていない。」


「それではもう、次の場所に行くのでさようなら。」


「ちょっと待て、このまま行くのはおすすめしない。」


「どうしてですか?」


「もう外が暗くなってきているから危険だ。ここはペィビィの国の端っこの農村なんだが、夜に外に出ると大型魔獣に遭遇するという言い伝えがある。

だから君とゴブリンの男の子3人は私の家に泊まりなさい。」


「見たことがあるんですか?」


「実際ないが、朝に家の外に出ると巨大な足跡がある。」


 胡散臭うさんくさいと思った。だが、野宿はしたくないので、「わかりました。泊まります。」と承諾した。ゴーレムは外に待機させておくことになった。

 

 夜になった。


「おい、お前ら夕食食べとけ。」


「いいんですか?」


「子供は食べ盛りだから食べないのは健康に悪い。だから食べろ。」


「ありがとうございます。」


「ここは、キャベしか採れないからキャベの塩漬けのスープしか出せないけどな。」


「大丈夫です。ありがとうございます。」


 俺はキャベのスープを食べた。

 名前がキャベツに似ているから味もそうなのかと思ったら、ほうれん草の味がした。


「スープ美味しいです。髭面ひげづらの小人さんありがとうございます。」


「いいよ大したものではないから。あと、私は髭面ひげづらの小人という名前ではない。ちゃんとミクローという名前がある。」


「わかりました。ミクローさん。」


「そういえばお前らの名前聞いてなかったな。」


 ここで本名を言うと、奴隷商達に気づかれるかもしれないので俺は偽名を使うことにした。


「俺はトニー。このゴブリン達は、一郎、二郎、三郎です。」


「そうか。トニー、一郎、二郎、三郎という名前か。」


 なんやかんやで寝る前になった。


 ミクローさんは、俺達の寝床としてわらでできたベッドを3つ用意してくれた。


 俺達はそこで眠った。



 

 

 







 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る