第10話 藁の家

 ゴーレムの肩に座り、長時間ゴーレムで移動していた。

 ずっと森ばかりで嫌になってきた。 


 人以外でもいいから何か、新しいもの出てこい。

 そう思っていたときに複数のわらでできた家があった。


 やっと森以外のものが見れた。


 普通ゴーレム達に『わらの家に入り、中に生き物がいたら捕らえろ』と念じ、巨大ゴーレムには、『俺を守れ』と念じた。


 普通ゴーレムがわらの家に入った後、「ギャー」という声がした。

 しばらくして、原始人の格好した緑色の子供達?を拘束してわらの家から出てきた。


 あ····さっきの死体と同じ種族だ。


 現世で読んだ異世界ファンタジー小説に出てたけど思い出せないな〜種族の名前。


 ぽっくり?··じゃなく、ゴックリン?じゃなく。


 あ、ゴブリンだ。


 やっとスッキリした。


 もしかしたら、さっき殺したのは、大人ゴブリンだったんだな。

 さっき殺したやつにこいつらの親もいたのかな。


 可哀想だけど弱肉強食だしな。しょうがない。


 そんなことをしみじみと心の中で考えていたら、他のゴブリン達はびびって声も出ないのに、1人のゴブリンの男の子が口を開いた。


「おい、お前。俺達にこんなことをしたら、大人達が、黙ってないぞ。」


 へー俺、コブリンの言葉理解できているわ。

 あっ、そういえば神が、人族語以外も理解できて、話せるようになっているって言ってたわ。

 うっかりしてた〜テヘッ。


 ゴブリンをほっといていたら、口を開いたゴブリンが怒った。


「おい、無視するな。」


「あーごめん、ごめん。無視してたわけじゃないんだ。まず言わなければいけないのは、君達の親ゴブリンは全員殺した。俺のゴーレムで。」


「そんな·····。」

 その場にいたゴブリン全員絶望した顔をしていた。


「先にそっちの大人ゴブリン達が俺を殺そうとしたから、火の粉をはらっただけだ···本当は殺傷などしたくなかった。」


「もう殺せよ。」

 口を開いたゴブリンが諦めた顔をしていた。


「殺さないよ。拘束も解いてあげる。でも条件がある。俺に攻撃するな。攻撃したら問答無用に殺す。」


「わかった。攻撃をしない約束する。お前らいいよな。」と口を開いたゴブリンが他のゴブリンに承諾させた。


「じゃあ、拘束を外すよ。」

 

 俺は普通ゴーレムに『ゴブリンの拘束を外せ』と念じた。 


 拘束を外した途端、ゴブリンの女の子は即座に逃げて、ゴブリンの男の子3人だけ残った。


 スキル【醜男色】が発動したわけね。

 まぁいいけど。


「君達は、逃げないの?」


 口を開いたゴブリンが、

「子供ゴブリンだけでは、どうせ死ぬだけだから俺等を召使いとしてでもいいから一緒に連れてってくれよ。」と弱々しく言った。


 え〜召使い。こいつら連れてったら、街入れるかわからないのにどうしようかな。

 魔力少なくなったとき危ないし、どうしようかな。


 俺は悩んでいた。


 少し考えて思いついた。

 あっそういえば魔法基礎の本に書いてあった闇属性の奴隷魔法、あれが使えるのでは····それなら連れてっても問題ないな。


*補足:誰かを奴隷にするとき、魔導具と魔法の2つの方法で奴隷にできる。


 俺は奴隷としてゴブリンを連れて行くことに決めて、ゴブリン達に言った。


「闇属性の奴隷魔法をかけていいなら連れてってもいいよ。」


 ゴブリン達はこそこそと3人で話し始め、終わったら俺の方を見て、口を開いたゴブリンが、

「俺等3人、奴隷魔法かけられてもいいです。」

 と言った。


 俺は「わかった」と言って、闇属性の奴隷魔法のやり方を思い出しつつ、魔法を使おうとした。


 確か土魔法と似ていて頭の中で想像力を働かして、奴隷にする相手に奴隷刻印をいれるイメージ。


 俺は奴隷魔法を使ってみた。

 

 無事にゴブリンの首筋に奴隷刻印をいれることができた。

 奴隷の完成だ。


「君達は奴隷になったから、俺が寝ていたとしても俺に攻撃できないようになったよ。」


「百も承知です。俺等は生存確率を上げたかったから奴隷で大丈夫です。」


「それならいいけど。そういえば君達の名前を、教えてよ。呼びにくいから。」


 口を開いたゴブリンが、

「俺等には、元々名前はありません。つけるならどうぞ。」


 名前か。口を開いたゴブリンリーダーぽいし、他の2人のゴブリンは、ノッポと小デブか。

 俺はよく考えた。


「話している君は、一郎。ノッポの君は、二郎。小デブの君は、三郎だ。」

 

 自分で考えたけど、結局安直な名前にしてしまった。


 それを聞いたゴブリン達が、「わかりました。」と承諾した。


 新たにゴブリンの3人が加入した。

 

 わらの家がある場所から離れて、俺達はまた、歩き始めた。


 



 





 


 



 


 


 


 



 

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