第4話 1歳
『王妃、第二王子暴言事件』から1年半になった。
俺は歩けるようになったが、女のいない灰色な生活を送っていた。
女は誰でも俺が怪物に見えるため、世話をするのが男の使用人だけで辛かった。
父であるレオン王はあの事件から、女が全員俺を怪物に見える現象が呪いだと思い込んで、色んな国から呪いを解く専門の優秀な魔道士、神官、僧侶を連れて来る。
だが毎回効果はなかった。
それで最近、この異世界で唯一【鑑定】スキルが使えるハーフエルフの魔道士がいることを知ったレオン王は、そのハーフエルフを見つけ出してこの国に連れて来た。
それで鑑定してもらうと呪いではなく、【醜男色】というスキルだったという事実をレオン王は知る。
結局、レオン王は諦めた。
それ以来レオン王とは顔を合わせることが減った。
女が全員俺を怪物に見える現象が治ることはないから、利用価値が皆無だと思ったのだろう。
王族はもちろん、貴族とかは男女の社交界が多いイメージがある。
俺がそのような場に行ったら、女が近づいて来ないから使えないんだろう。
現世の知識から考えると、騎士団みたいな男所帯のところに送られるかもしれないな、
王族として社交界に出ることができないから、この国にそういうものがあればだけど…
転生してから1年半で両親に見限られた。
その後、周囲にいるのは今までと変わらず男のみだが、元々たくさんの使用人が世話をしていたのが、1人、2人と減っていき、最終的残ったのは、やる気のない新人の男、3人だけで、それもローテーションで朝と昼と夜に分けての世話だから実質一人のようなものだ。
他の使用人はレオン王の命令で2つ上の第一王子のアダン王子の方に皆、行ってしまったらしい。
と他の部屋で使用人が世間話しているのが聞こえた。
俺にとっては世話をする人間がいなくなるのは好都合だった。
早く魔王を倒しに行くためには、自分が持っているスキルの鍛錬がしたいが、今までできなかった。
それは使用人がたくさんいたから。
でも、今はやる気のない使用人1人だけだから。
きっとスキルの鍛錬をする時間はある。
夜は見張りの使用人の男が、途中で眠るのでその時に鍛錬しようと思った。
夜になった。
やはり見張りの使用人は途中で眠っていた。
俺はまず、現在のステータスを確認するために『ステータスオープン』と念じた。
『ステータス』
[種族]人族 イザーク·アンスロポス(1)
[レベル]1 [ジョブ]王子 [魔力]110 [武力]5
[スキル]
【武人1】武術の上級スキル、初見でだいたいの武器が使いこなせる。
【賢者1】『火、水、土、風、雷、光、闇』全属性の魔法が使える。
【醜男色2】女は、誰でもこのスキルを持つものが、怪物にみえて嫌悪する。男は美男は普通で、醜い男には好かれる。これは、種族関係なく発動。
【王族2】街で買い物をするとき、安くアイテムが買える。
何もしていなかったので、ほとんど変化していなかった。
だが、魔力や武力、スキルの【醜男色】と【王族】も上がっていた。
年をとり成長するものと、【醜男色】のように男しかいない生活をしていると、上がるものがあるのだと気づいた。
ステータスを見て、今日は俺がいつも寝ている部屋でできる魔力の鍛錬をすることにした。
転生する前に神が、『スキルを使えば使うほど値が上がる。』と言っていたから、今のうちに毎日取り組もうと俺は思った。早く魔王を倒して現世に帰りたいし。
魔力の鍛錬を始めた。
部屋の本棚にあって読んだ魔法基礎の本に書いてあった『魔力循環』をまずやろうと思った。
俺はそれをやってみた。
初めは魔力の感覚がわからなくて、悪戦苦闘した。
だが、徐々にその感覚を理解したら、温かいものが身体を一周することができた。
それが魔力なのだとわかった。
コツを掴んだので数時間『魔力循環』をやった。
そしたら、寝落ちしていた。
朝、起きてステータスを見たら、
魔力が、110→200に上がっていた。
スキルの【賢者】が、1→2に上がっていた。
これは、転生者の効果も作用しているのかもしれないと俺は思った。
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