普段とは違う

 朝6時。 重い足取りでビジネスシューズを擦りながら駅へと足を運ぶ。

この時間に出て、夜の10時にまたこの駅に帰ってくる。これを平日ずっと続けていく。

 既に社会人になって5年ちょっと。あとこれが30年以上続く恐れすらあると思うと、もはや絶望すら感じなくなる。

 改札を抜けホームのベンチに腰掛ける。いつも乗っている電車の前に、反対行きの電車の到着のアナウンスが流れる。

 反対行きに乗れば、オフィスのある東京から離れ、広大な野山のある大自然へと行ける。

 ふとそんな時、子供の頃の野山を駆け巡った記憶が蘇る。

 電車がゆっくりとホームに入り停車し、ドアが開く音がする。

 俺はベンチから立ち上がり、電車へと踏み入った。

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