第2話

「総員、撃て…!」

 銀髪の外国人のような顔立ちの女性がそう叫ぶと、彼女の両サイドに広がっていた無数の兵士達がライフル銃を構え、次から次へと発砲していくのだった

『バンッ、バンッ、バンッ…!!』


 被弾しないように、身体を地面に突っ伏す青年

『…!?』

 銃弾に倒れていく鎧の兵士達

 飛び散る血飛沫

 その光景に、更に恐怖する青年


『バタンッ…!』

 最後の鎧の兵士が地面に倒れる

 地面に血溜まりが波を立てず、静かに広がっていく

「終わったか…

 総員、撤収する…!」

 銀髪の女性はそう言うのだった


 身体を起こす青年

 すると、銀髪の女性はその青年に気付き、歩み寄り

「貧相な身体に、貧相な格好…

 此処が戦場だって分かってる…?」

 見下すように言うのだった

「いや、あ、あ…

 此処は何処ですか…?」

 恐る恐る訊ねる青年

「君…」

 銀髪の女性が何かを言おうとした瞬間であった


『ウオオオ…!!!』

 獣ような野太い怒号が、辺りに響き渡る

『!?』

 銀髪の女性と銃の兵士達が、声のする方を振り向くと、そこに居たのは、とてつもなく巨大な図体と異形の顔をした魔物であった


「血の臭いに誘われたか…?

 もしくは魔族が使わせたか…?

 どちらにしろ、本当にこの世界は…!」

 銀髪の女性はそう言うと、勢いよく銃身の長いスナイパーライフル銃を構えた


『ピシッ、ピシッピシ…』

 銃身が帯電し始める

 そして次の瞬間、銃身を中心に魔法陣が現れ

「…爆ぜなさい」

 銀髪の女性は呟き、引き金を引くのだった


『ドューン!!』

 帯電した銃弾が眩い閃光となって、放たれる

『ビシュン!!』

 眩い閃光が、魔物の首から上を消し飛ばす


 白い煙を出す銃口

 頭部を失い、存在を保てず、塵となり始める魔物

 銀髪の女性は銃の構えを下ろすと、青年の方を見て

「君が何者かは知らない…

 けど此処は戦場…

 死にたくなかったら銃を持ちなさい…!」

 と言うのであった

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