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.119『天使様の蒼き輝き』:Sestina

世界（せかい）の終（お）わりとは正（まさ）にこのことでしょうか

戦火（せんか）へ酔（よ）い痴（し）れる悪魔（あくま）の振（ふ）るう　赫（あか）き極彩（ごくさい）

焔々（えんえん）と　炎々（えんえん）と　燃（も）え盛（さか）る火勢（かせい）で　攻（せ）めて

煙炎（えんえん）挵（せせ）る悪魔（あくま）から　どうかお救（すく）いください

詮方（せんかた）無（な）く祈（いの）った矢先（やさき）現（げん）じられた蒼（あお）き天使（てんし）様（さま）

塞敢（せか）う涙（なみだ）を背（せ）に駆（か）ける御姿（おすがた）のなんと美（うつく）しい

攻（せ）め入（い）る天使（てんし）様（さま）の　蒼（あお）き矢柄（やがら）さえ輝（かがや）かしい

鮮明（せんめい）な天明（てんめい）が　鳴鏑（めいてき）となり　浴（あ）びせた光華（こうか）

睨（ね）め付（つ）けた悪魔（あくま）が赫（あか）き剣（つるぎ）を創（つく）り進（すす）む直（す）ぐ様（さま）

顕示（けんじ）された死（し）にさえも翳（かげ）らぬ天使（てんし）様（さま）が星彩（せいさい）

決（け）して消（き）えぬ炎（ほのお）を消（け）し手（て）ずから下（くだ）さる救済（きゅうさい）

天使（てんし）様（さま）と　千思（せんし）万口（ばんこう）数多（あまた）の声（こえ）に祈（いの）り込（こ）めて

異（け）なりの声色（こわいろ）は　蒼（あお）い炎（ほのお）を絡（から）めて

嶮難（けんなん）を撚（ひね）る天使（てんし）様（さま）の　なんと麗（うるわ）しい

点々（てんてん）と　展転（てんてん）と　吼（ほ）え渡（わた）る二色（にしょく）の虹彩（こうさい）

玄天（げんてん）へ照（て）る赫（あか）き刃（やいば）　蒼（あお）き矢（や）と散（ち）らす猛火（もうか）

圏内（けんない）降（ふ）る月（つき）の光（ひかり）　天使（てんし）様（さま）をお守（まも）りください

貶（けな）す悪魔（あくま）の眼（め）に駆（か）ける目映（まば）ゆき天使（てんし）様（さま）の形様（なりさま）

睨（ね）め掛（か）く悪魔（あくま）の眼（め）が宿（やど）した　赫（あか）の向（む）こう様（さま）

明々（めいめい）な天刑（てんけい）が　勁敵（けいてき）を灼（や）き　蒼（あお）く　染（そ）めて

攻（せ）め駆（か）けた天使（てんし）様（さま）　蒼（あお）き矢（や）を象（かたど）り猛（たけ）る風采（ふうさい）

顕示（けんじ）された右腕（みぎうで）の　濡（ぬ）ればむ炎（ほのお）も勇（いさ）ましい

決（け）して消（き）えぬ炎（ほのお）を煉（ね）り手（て）ずから下（くだ）さる浄化（じょうか）

天使（てんし）様（さま）と念（ねん）じ呻吟（さまよ）う祈（いの）りよ届（とど）いてください

天使（てんし）様（さま）　天使（てんし）様（さま）　嗚呼（ああ）どうかお聞（き）きください

笑（え）みと共（とも）に炎（ほのお）を灯（とも）し　この地（ち）を穢（よご）した奴（やつ）の様（さま）

穢（けが）れた罪（つみ）を衒（てら）い照（て）らし　隈（くま）無（な）く赫（あか）く灼（や）く殃禍（おうか）

描（えが）いた赫（あか）き斑（まだら）で　儘（まま）　嚇（おど）し燃（も）し縦横（ほしいまま）に染（そ）めて

笑（え）みこだれ誰彼（だれかれ）無（な）しに殺（あや）めた奴（やつ）が腹（はら）立（だ）たしい

天使（てんし）様（さま）　どうかどうか　奴（やつ）を殺（ころ）してください

攻（せ）め寄（よ）る天使（てんし）様（さま）の　蒼（あお）き矢（や）が描（えが）く星彩（せいさい）

鮮明（せんめい）な天命（てんめい）が　鳴鏑（めいてき）となり交（まじ）えた光彩（こうさい）

鬩（せめ）ぎ合（あ）いの果（は）て　悪魔（あくま）が巡（めぐ）らせた思惟（しい）

天使（てんし）様（さま）の蒼（あお）き炎（ほのお）　己（おの）が赫（あか）き炎（ほのお）の事（こと）の様（さま）

決（け）して消（き）えぬ炎（ほのお）を睨（ね）め　只管（ひたすら）苦惨（くさん）に眇（すが）めて

天使（てんし）様（さま）を怨（えん）じながら影（かげ）と同化（どうか）し消（き）えた殃禍（おうか）

天使（てんし）様（さま）　どうかどうか　お待（ま）ちください

天使（てんし）様（さま）　せめて　御礼（おれい）をさせてください

天使（てんし）様（さま）　天使（てんし）様（さま）　嗚呼（ああ）　なんと　美（うつく）しい