L×R

.114『ⅲ』:Virelai

指（ゆび）でなぞった　あなたの笑顔（えがお）

首（くび）も据（す）わっていない幼（おさな）いあなたを

上手（うま）く抱（だ）っこできなくて　戸惑（とまど）う

不憫（ふびん）で用心（ようじん）して挙動（きょどう）不審（ふしん）なパパを

首（くび）を傾（かし）げ微笑（ほほえ）み撫（な）ぜた　きみの顔（かお）

生（う）まれて初（はじ）めて生（う）まれた感情（かんじょう）

二人（ふたり）足（た）す一人（ひとり）　指（ゆび）を立（た）てては　数（かぞ）う

歌（うた）うように三（みっ）つの指（ゆび）に　灯（とも）った鼓動（こどう）

加（くわ）えた家（いえ）の中（なか）には　温（あたた）かい夢（ゆめ）が耀（かがよ）う

うたた寝（ね）したあなたは　暖（あたた）かな太陽（たいよう）

舞台裏（ぶたいうら）で舞台袖（ぶたいそで）で佇（たたず）み泥（なず）み隅（すみ）へ添（そ）う

咥（くわ）えて見（み）ていた思（おも）い出（で）と共（とも）に歌（うた）おう

ゆらゆらぐっすりと　揺（ゆ）り籠（かご）で漂（ただよ）う

無邪気（むじゃき）なあなたの夢（ゆめ）はどんな色（いろ）だろう

不意（ふい）にくすりと笑（え）む　きみが崩（くず）した表情（ひょうじょう）

麗（うら）らかに指（さ）す流星（りゅうせい）　頬（ほほ）を駆（か）けて　陽炎（かげろ）う

ふざけて　とぼけて　戯（おど）けては　装（よそお）う

ぷいとそっぽ向（む）いてそっと啜（すす）る心胸（しんきょう）

指（ゆび）を一（ひと）つ立（た）てて　今日（きょう）この日（ひ）を讃（たた）えよう

指（ゆび）を二（ふた）つ立（た）てて　きみに捧（ささ）ぐありがとう

内気（うちき）な心（こころ）の代（か）わりに　淡（あわ）い色（いろ）の言（こと）の葉（は）を

指（ゆび）を三（みっ）つ立（た）ててあなたたちへと挿頭（かざ）そう

指（ゆび）でなぞって　数（かぞ）えてひっそりと灯（とも）そう

口（くち）には出（だ）せない　あなたたちへの言葉（ことば）を