L×R

.109『lívlʌ́v』:Quatrain

愛（いと）おしく美（うつく）しく　唯（ただ）　狂（くる）おしく

愛（いと）しい仔（こ）は　輝（かがや）く秤（はかり）を掲（かか）げ選（え）る

左（ひだり）へ右（みぎ）へ　錘（おもり）無（な）き皿（さら）は思（おも）わしく

次第（しだい）に剰（あまつさ）え命（いのち）さえ　皿（さら）に載（の）せる

一顧（いっこ）だに計（はか）ろうと　量（はか）れない人（ひと）の業（ごう）

濫（みだ）りに散撒（ばらま）く許（ばか）りでは解（わか）り合（あ）えない

一個（いっこ）の愛（いと）しい家族（かぞく）と百万（ひゃくまん）の有象無象（うぞうむぞう）

左（ひだり）へと沈（しず）む　純白（じゅんぱく）の光（ひかり）の　美（うつく）しい愛（あい）

血（ち）の繋（つな）がりさえ疑（うたが）い　互（たが）いに害（がい）し合（あ）い

握（にぎ）る剣（つるぎ）を振（ふ）るい　古（ふる）い偶像（ぐうぞう）へと　服（まつろ）う

命（いのち）知（し）らずな百万（ひゃくまん）の夢（ゆめ）と唯一（ゆいいつ）の母（はは）の願（ねが）い

右（みぎ）へと沈（しず）む　純白（じゅんぱく）の虹（にじ）と　美（うつく）しい双眸（そうぼう）

自分（じぶん）を家族（かぞく）を軽（かろ）んじ　赤（あか）の他人（たにん）を　重（おも）んじ減（め）る

肉親（にくしん）さえ憎（にく）しむ　痛（いた）み苦（くる）しみは　唯（ただ）哀（かな）しく

自分（じぶん）を家族（かぞく）を重（おも）んじ　赤（あか）の他人（たにん）を　軽（かろ）んじ照（て）る

肉親（にくしん）だけ慈（いつく）しむ　美（うつく）しい愛（あい）を　儘（まま）　爪弾（つまび）く

生（い）きることは　命（いのち）を愛（あい）し切（き）ることだと聞（き）く

血（ち）は何（なに）より濃（こ）く重（おも）く　強（つよ）く輝（かがや）き照（て）り映（は）える

頻（しき）りに軋（きし）るのなら血（ち）を皿（さら）へと載（の）せましょう

極（きわ）めて目映（まばゆ）く輝（かがや）く　美（うつく）しい愛（あい）を　点（とも）し合（あ）い

煌（きら）めくその輝（かがや）きを　我（わ）が母（はは）へと捧（ささ）げましょう