1188 嫌だと思う人程、不思議と絡んで来る

 眞子が奈緒グリのライブ当日に、関係者以外立ち入り禁止区域を歩いていた理由は『ただの自爆』(笑)

それでも崇秀との約束である、奈緒グリを出し抜いた事は事実なので、半ご満悦で帰宅の途に着いたら……


***


 ……っと言う様な、喜劇の様な悲劇があったんですけどね。


この後、直ぐに奈緒ネェが『ハイ、じゃあご苦労様、眞子。この後、仲居間さんとの食事があるんでしょ。だから、もぉ先に帰っても良いよ、ありがとうね、眞子』って気を遣ってくれてですね。


崇秀さんの元に帰らしてくれました。


でも、その際に、奈緒ネェが入り口まで送ってくれ様としたんだけど。

今からもまだ曲の詰め込みに忙しい筈だから、此処は丁寧にお断りして、継続されているリハーサルに集中して貰う事にした。


まぁその後、その場で愛想良く、ほぼ作業が終わって数人だけ残られてるSTAFFの方も含めて、奈緒グリのメンバーの方に挨拶だけして帰るんだけど……


私は……廊下に出た瞬間、ポケットから携帯電話を取り出し。

ニヤけた顔で、直ぐに崇秀さんに電話をする。


すると1コールで電話に出てくれて。

私が『リハの終了』を伝えると、崇秀さんは……



『そっか、終わったか。んじゃまぁ、直ぐに迎えに行くから、そこで、ちょっと待ってろな』


……って言ってくれた瞬間。

直ぐに電話口から足音が聞こえて来たので、早くも動き出してくれたみたいなんですよね。


こう言うのって……ホント幸せですね。


毎度の事ながら幸せ死にしそう。


***


 ……っとまぁ非常に深い幸せを噛み締めながら、出入り口に向って、廊下をトコトコと歩いてると。


少し余計なハプニングの予感が……


私の前方から、呼びしないのに、あのダメな警備員の人が、私服でコチラに向かって来たのよね。


まぁ正直言って、この人に対しては、まだ気持ちの整理が上手く出来ていないから。

今の段階では『余り関わりたく無い』って気持ちが先行して、軽く会釈だけして通り過ぎようとした。


……んだけど。



「なぁなぁ、オマエさぁ。さっき鮫島の説教ジジィから聞いたんだけどさぁ。なんか、それなりにスゲェんだってなぁ。結構、地方じゃ有名人らしいじゃん」


嫌だと思えば思う程、不思議と嫌な奴は絡んで来るもの。


この人も、その例に漏れず、絡んで来たんだよね。



「はぁ……あの、だとしたら、なんなんですか?それがなにかアナタと関係があるんですか?」

「なに言ってんだよ。ちょっとした有名人なら、ファンが、もっと欲しい所なんだろ。俺さぁ、見ての通りの人徳で、知り合いが超一杯居るからさぁ。なんだったら、みんなに、オマエの事を紹介してやろうと思ってさぁ。此処で待ってた訳っしょ」


ファンですかぁ。


別に意図的に作られたファンなんてイラナイですねぇ。


それにですね。

私の音楽も知らない人に、ファンって言われてもなぁ。


まぁ第一ライブを見に来てくれてる人を『私のファン』だなんて思う程、厚かましい認識は持ち合わせていませんからね。


どちらかと言えば、一緒にライブを作ってくれる大切な知り合いだもんね。



「あぁ、ありがとうございます。……でも、結構です。そう言うの必要ありませんから」

「シビィ、マジシビィ……のは良いんだけどさぁ。そう強がりなさんなって。本当は、喉から手が出る程ファンが欲しいんじゃないのぉ?」

「あの、本当に、そういうのは結構ですから。私の音楽を聞いて貰ってもいないのに、ファンになって貰う必要性なんてありませんので、お気持ちだけで結構です」

「言うねぇ。言うねぇ。言っちゃいますねぇ。……けど、なに有名人気取りで、一丁前の事を言っちゃってんの?どうせ、音楽とか言っても、何所にでも有る様な、有り触れた、大した音楽でもないものを演奏してるだけなんっしょ。ただ金欲しさに音楽やってるだけなんしょ?」


あの……なんで顔見知り程度のアンタに、そんな事まで言われなきゃ成らないんですかね?


此処まで『イラナイ』ってハッキリそう言ってるんだから、関係ないでしょうに?


馬鹿なんですか?



「別に、お金も、そんなに要らないですよ。生活する必要最低限だけ有れば、それ以上は、特に望んでませんけど」

「おぉ!!それって、あれだよね。自分を弁えてるって奴?才能なんかない空っぽだから、自分だけじゃ稼げないって自覚してる証拠だよね?スゲェ~!!マイナーなだけに、ちゃんとそういうのも自覚してるんだぁ」

「あの。ちょっと言葉が過ぎるんじゃないですか?どうしてアナタに、そこまで言われなきゃいけないんですか?そんな事を言われる筋合いは、流石に有りませんけど」

「いやいや、そうじゃねぇだろ。『才能が無いならファンを持てば良いじゃねぇの?』って話をさっきからしてんの。今の日本の芸能界なんてさぁ。雑魚でも、ブスでも、下手糞でも、売れれば大金が転がり込んで来るんだからさぁ。大人しく俺に感謝しながら、俺のツレに紹介されちゃいなよ」


確かに、そうかも知れないですね。


でも、私は、そう言うのは、本当にイラナイですから、関係ないの。



「興味ないですね」

「オイオイ、この子、真顔で嘘付いちゃったよ。金が嫌いな奴なんて、世の中を探しても、そうは居ないしょ。それこそ、アマゾンの秘境に住んでる原住民ぐらいのもんなんじゃねぇの?」

「ふぅ。そうかも知れませんね。けど私は、なんと言われ様とも興味ありませんから」


もぉ限界。


崇秀さんとの待ち時間の関係上。

不本意ながら、少し相手をしちゃったけど、この人、鬱陶しいにも程がある。


こんな事なら、最初から無視して、さっさと待ち合わせ場所に行けば良かったよ。


そう言う訳なんで、私は遅ばせながら、その言葉を言った後、その場を立ち去ろうとした。



すると……



「オイ、ちょ、待てよ。俺の話は、まだ終わっちゃいねぇしょ。なに勝手に帰ろうとしてる訳よ」


そう言いながら、強引に私の手を掴んできた。


一瞬、大声で叫ぼうかと思ったんだけど。

大半の作業が終わってSTAFFの方が帰られてる上に、此処の場所が悪いのかして、人が、全然通らないんだよね。


もぉ、まいったなぁ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


折角、半分ぐらいは機嫌良く帰路に就いたのに、再度桜井さんの登場で非常に嫌な思いをさせられてますね。


こればっかりは、アレンジを頑張っただけに、なんとも可哀想な感じなのですが。

これもまた、どこかで解決しなきゃいけない精神的な問題なので、この機に、この桜井さん問題も解決して貰いましょう。


さてさて、どうなる事やら。


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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