1187 鬼鎮めの儀式と、とある原因の解明
実はエリアスさんがアイドル志望だと知った奈緒さんは、また悪い癖が出て、これをからかおうとするが。
それを見た眞子が、あまりにもエリアスさんが可哀想だから庇うと、奈緒さん以外のメンバーもこれに追従。
これにより奈緒さんは「自爆する羽目」に成ったのだが……そこで何故か反撃の狼煙を上げる為に逆ギレして(笑)
***
「あぁ、奈緒ネェ、奈緒ネェ。お願いが有るんですけど」
「なんじゃい?」
「いや、あのね。今こうしてる間にも、崇秀さんがね。ご飯を食べずに待ってくれてると思うの。だから、出来れば、早くして欲しいなぁって。……忙しくて、大分疲れてるだろうし」
「あぁ、そうなの?もぉ、だったら、なんで、もっと早くに、それを言わないのよ」
ほらね。
簡単に『ケロッ』っとして、鬼が眠りに付いたでしょ。
奈緒ネェは『気遣い』>『怒り』な人だから、意外と、此処が弱点だったりするんだよね。
……でも、ここで再度忠告。
この方法も、鬼の目覚めの『初期段階』のみで有効な技。
本当に鬼が目覚めちゃったら、もぉそれはなにをしても無理な話ですからね。
「ごめんなさい。でも、なんかそう言うのを言い出せる雰囲気じゃなかったから」
「OKOK。……けど、解ってるなら、今度から、もっと早く言うんだよ」
「あぁ、はい♪ありがとうね、奈緒ネェ」
「うんうん、良いよ」
これにて『鬼鎮めの儀式』終了。
***
……さて、そんな無用な諍いがあった後。
早速、アレンジした曲の演奏を開始するんですが。
♪♪--♪-♪♪--♪♪♪♪♪--♪-♪♪♪♪-♪♪♪--♪♪-----♪♪♪♪--♪♪♪-♪-♪……
まずは奈緒グリの皆さんには、ディックさんが作った曲のままを演奏して貰ってます。
それは、何故かと申しますと。
アレンジするにしても、明日ライブで発表する曲なのに、今更、大きく曲調を変更させるなんて、慌しくなるだけで余り良い事じゃないんですよ。
それに付け加えて『熟成型』の演奏者が居た場合、音を熟成させる事が、意外と出来なかったりもする。
この2点の問題から、基本的な曲調の変更は無し。
……では、そんな状態で、どうやってアレンジするかって話になるんだけど『原曲に新たな音を加えてあげる』事にしました。
こうすれば、そこまで慌しくもならないし、熟成度の問題も、両方解決出来るでしょ。
まぁそんな訳でして。
私は『スタファちゃん』で、ディックさんの作った『Blood-Rain』に新たな音を加えて行く。
あぁ……因みにですけど。
私の加えたベースの音に関しては、明日、GUILDのHELPシステムを使って貰えば万事抜かりは無し。
何故なら、このアレンジ自体が、2本有る片方のベースを独立させて、曲とは逆の音を小さく出せば良いだけの事ですからね。
例で上げると。
『悲しい曲調』なら『楽しい曲調』
『楽しい曲調』なら『悲しい曲調』
早い話、それらが表裏一体に考えられてる曲だからこそ、常に逆の音を小さく出すって結論に至った訳です。
これって……ディックさんが言いたかった様に『凄く無駄』じゃない?
まぁそれに、演奏が大丈夫って思える理由を更に付け加えるなら、そんなに難しい音は使ってないんですよね。
だから、ある程度ベースを弾ける人さえ来てくれれば、この一曲ぐらいだったら、HELPの人で十分に対応出来る筈。
故に、明日はですね。
観客席側で、皆さんの勇姿をたっぷりと堪能させて頂きますね。
***
……そう思っている内に、曲は、なにもトラブル無く終了いたしました。
結構、良い感じに仕上がったとは思うんですけど……皆さんの評価はいかがなものですか?
「あの、一応、こんな感じなんですが、如何ですかね?」
「…………凄いな。言葉を失う程の出来栄えだ。流石だな、眞子」
「えぇ、この差し迫った段階で、ベースをギターの様に使うなんてね。大したもんだわ」
それは褒め過ぎですよ。
此処は、さっきアレンジの説明した時には忘れてたんだけど。
ディックさんの言う『無駄』を増やす為に、時にはベースとして演奏し、時にはギターとして演奏をしてたんですが、この演奏方法自体は、結構、昔からある演奏方法なんですよ。
ただ単に、やる人が極端に少ないだけで。
だって、普通に考えても、ベースをギターみたいに弾くんだったら、普通にギターを弾けば良い話だけの話。
それでも敢えて、ベースみたいな低音が欲しければ、エフェクターで音の調整しても良いし、崇秀さんみたいに7弦ギターを使っても良い訳だしね。
やり方は、色々有りますよ。
「けど、鞍馬。なんで曲を弄らなかったんだい?」
「あぁ、はい。それはですね。現段階で上手く仕上がっている曲に、ワザワザ手を加える必要もないかなぁって思いまして。それにですね。ベースが2本有るんだったら、敢えて、違う使い方をした方が有用じゃないですか。ただそれだけの事ですよ」
これはね。
真琴ちゃんと、奈緒ネェが一緒にベースを演奏してた時の事を思い出したのね。
ベースが2本有るなら『それぞれを有用に使う方が良い』って、奈緒ネェが、昔、言ってたからね。
「なるほどなぁ。……ではなにか?この曲については、明日、眞子が一緒に演奏してくれるのか?」
「いえいえ。そこはGUILDのHELPシステムを使って下さい。若しくは、奈緒ネェがベースを弾きながら唄って下さい。私は観客席から、皆さんを応援してますから」
……そぉ。
最終的な話で言えば、奈緒ネェは、私のベースの師匠でもある訳だから、この程度の演奏ならお茶の子さいさいの筈。
故に此処で意見さえ通せば、明日は観客席で、ゆっくり演奏を聞けるって寸法なのですよ。
偶には、観客席側から、皆さんを見たいです。
「アンタ、無茶苦茶言うわね。そんな器用な真似出来る訳ないでしょ?」
あり?
何故に?
「はい?なんでですか?奈緒ネェなら余裕で出来る筈ですよ」
「なんの過信よ、それ?」
「いやいや、過信じゃないですよ。絶対的な信用です」
「このお馬鹿だけは。……あのねぇ眞子。そりゃあ確かにね。単体でベースだけを弾くだけなら、まだ、なんとか出来なくもないかも知れないけどね。唄ってる歌詞のテンションと真逆の音を、その場で同時に演奏する事なんて出来る訳ないでしょ。それにベースを練習する時間もない」
あっ!!しまった!!
本当だ!!
それに奈緒ネェに弾いて貰うにしても、彼女は熟成型だった。
「確かに、それは無理だわ。しかも、ベースを弾くだけでも、かなり至難の業だよ」
「なっ、なっ、なっ、なっ、なんでですか?弾けますよ。普通に弾けますよ」
「弾けないつぅの。それに大体ねぇ。独立して、曲とは真逆の音を弾き続けるなんて、並大抵の精神力じゃ出来無いよ。普通だったら、本能的にメインの音に引っ張られちゃうからね。しかも、それをギター弾きみたいな真似までさせられるんじゃ……それこそ、そんな器用な真似が出来るのは、鞍馬か、仲居間さんぐらいのもんじゃない」
「えぇっと、そんな事ないと思いますよ。みんな出来ますよ。大丈夫ですよ」
「いや、眞子。仮に出来たとしてもだ。それを『明日までに出来る様になれ』と言うのは、些か酷な話じゃないか?時間が無さ過ぎると思うが」
あるぇ~~~!!
「確かに、その通りだね。最低でも一週間ぐらいの期間があれば、なんとか成るかも知れないけど。……流石に明日じゃ無理だね」
「けど、ライブは明日。……姫ちゃん。俺さぁ。このアレンジ気に入ったから。明日の新曲発表は、これで行きたいんだけど」
「えっ?えっ?えぇ~~~っ、それって!!」
「そぉそぉ。自分でアレンジしたんだから、この責任キッチリ取りなさいよ。明日アンタ東京ドームで演奏ね。あぁ序だから、全部演奏してね」
「そんなぁ~~~~」
「いやはや、連勝記録が伸びて良かったね、眞子♪おめでとう」
「そんなのイラナイですよぉ~~~」
チュボ~~~ン!!
……ち~~~ん。
間抜けな策士は策に溺れました。
向井眞子はアホな子なので、見事なメガンテを炸裂させて自爆して果てました。
さようなら、私のお休み……
そして、こんにちわ、私と奈緒グリの競演……
***
……っとまぁ、これが。
ライブ当日に、飯綱ちゃんから、真琴ちゃんが渡った手紙の真相です。
早い話ですね。
自分勝手な解釈で自爆して。
大して上手くもないクセに、東京ドームでのライブに出演しなきゃいけなくなったって事ですね。
とほほ……
まぁ良いんだけどね。
ある意味【奈緒グリ】を出し抜いたんだから……崇秀さんとの約束も果たせた訳だし。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
長々とお待たせしましたぁ。
これで漸く、眞子がライブの当日、2本のベースを持って関係者以外立ち入り禁止区域をウロウロしていた理由が判明しましたね。
そぉ……理由は「ただの自爆」です(笑)
ただまぁ、これ自体。
案外、奈緒さん辺りが「眞子をライブに引き込む為」に狙ってやった事かもしれませんが。
その真相は、今となっては闇の中です(笑)
さてさて、そんな訳でして。
こうやって眞子の参戦理由も明確に成ったのですが。
此処東京ドームでの問題は、まだ全て解決した訳ではなかったりします。
なにせ、あの問題が残っていますからね。
ってな訳でして。
次回は、その問題をまずは定義したいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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