デートの話は今日の夜に
由菜の恥ずかしがっている様子に満足しながら、自分のクラスの教室に入った俺は真っ先に自分の席に向かって、既に隣の席に座っていた結衣に声をかけた。
「おはよう、結衣」
「……う、うん。おはよう、優斗くん」
? なんか、心做しか結衣のテンションが暗いか?
何かあったのか? ……仮にそうだとしたら、聞いてもいいものなのか、聞かない方がいいものなのか。
「結衣、デートの話、今日の夜にしよっか」
結局答えが出なかった俺は、自分で言うのもなんだけど結衣の気分が上がりそうな話題を出すことにして、そう言った。
「う、うん!」
すると、単純と言うべきか、結衣は俺の言葉で一気に元気になって、頷いてきた。
真奈の時も何回か思ったけど、この世界の女の子ってチョロい子が多いのかな。……まぁ、男が少ない世界だし、その男と関わることも少ないだろうから、仕方ないことなのかもだけどさ。
俺としてもそっちの方が嬉しいし、別にいいんだけどさ。
「改めて、昨日はごめんね。電話、出来なくて」
そう思いつつも、昨日電話を出来なかったことを謝った。
約束してた訳じゃないし、俺が悪い訳じゃないんだけど、一応、な。
「ゆ、優斗くんが謝るような事じゃないよ。それに、私は全然大丈夫だったし、気にしなくていいよ」
恥ずかしがりながらも、俺に笑顔を向けてくれながら、結衣はそう言ってくれた。
「そう? なら、良かった」
「う、うん。……あっ、もちろん、出来るなら優斗くんと話したかったけどね」
「なら、今日はいっぱい話そっか」
「うん!」
そんな結衣とのやり取りを続けていると、いつの間にか時間が経っていたみたいで、チャイムが鳴った。
そして、一限目の授業が終わり、休み時間になった。
【ごめん、優斗。先生に頼み事をされて、そっちに行けない】
いつも通り真奈が来るのかなって思って教室の前でまっていようとおもったのだが、それよりも先にそんなメッセージが真奈から送られてきた。
【分かったよ】
【ごめん。次の休み時間は絶対行くから】
【全然気にしなくていいよ】
真奈が来ないのなら、どうしようかな。
由菜でも探してみるか? いや、普通に結衣と話すか。
「ゆ……」
結衣が、俺以外の人と話してる。
……勝手に結衣には友達がいないんだと決めつけてたけど、話す人、いたんだな。
邪魔をするのも悪いし、やっぱり由菜を探してみるか。
楽しそうに話してるしな。
……張り合うわけじゃないけど、俺と話してる時の方が楽しそう……というか、幸せそうだけど。
……まぁ、自分で言うのもなんだけど、俺は友達っていうより、恋愛対象だからなんだろうけど。
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