普通のことなんだし
真奈の家の前でスマホを弄りながら真奈が出てくるのを待とうとしていると、今日も俺を待ってくれようとしていたのか、ほとんど待つこともなく、制服を着た真奈が出てきた。
「あっ、真奈、おはよう!」
それを確認した俺は、真奈に向かって笑顔でそう言った。
「えっ……? ゆ、優斗!? な、なんで? も、もしかして、私、待たせちゃった……?」
すると、真奈はびっくりした様にしつつも、不安そうにそう聞いてきた。
「全然待ってないし、俺が勝手に真奈を待ってただけだから、仮に待ってたんだとしても、真奈が気にするような事じゃないよ」
「う、うん。で、でも、一言メッセージでも送ってくれたら、直ぐに家を出たんだよ?」
「真奈だっていつも何も言わずに待っててくれてるでしょ? だから、今日は俺が待ちたいなって思ったんだよ」
「わ、私は女の子なんだから、いいんだよ。でも、優斗は男の子なんだから、待たせたくなんてないし、そもそも、危ないよ」
……そういえば、ここはそんな世界だったな。
いや、こんな世界だからこそ、俺はハーレムを作ろうとしてるんだし、分かってるには分かってるんだけど、どうも男が一人でいると危ない、みたいなのは未だに理解があんまり出来てないんだよな。
俺がなんだかんだ家以外で一人になることが少ないからか、単純に運がいいからなのかは分からないけど、今のところ危ない目にあったことなんてないからな。
「ごめんね。でも、だったら、今度からは何時に家を出るか決めておこ? 俺も真奈を待たせるのは嫌だからさ」
「う、うん」
俺の言葉を聞いた真奈は、恥ずかしそうにしつつも、頷いてくれた。
良かった。
頼んだわけじゃなく、言い方が悪いかもだけど、勝手に待っているとはいえ、待たせるのはこっちとしても嫌だからな。
「じゃあ、学校、行こっか」
「うん。……優斗、手、繋いでいい?」
真奈は顔を赤くして、俺の手をゆっくりと優しく握ってきてから、そう聞いてきた。
……もう繋いでるじゃん、って思うけど、まぁいいや。
「もちろんいいよ」
「ありがとう、優斗」
「俺も嬉しいから、全然いいよ」
そうして、真奈と一緒に手を繋ぎながら仲良く学校に登校していると、周りにも人が増えてきて、さっきより視線を感じるようになってきた。
ここが前世の世界だったのなら、真奈という美少女に向けられた視線なんだろうけど、今向けられているこの視線の殆どは俺、だよな。
理由としては簡単で男が女の子と仲が良さそうに手を繋いでいるからだろうな。
そう思っていると、その視線の中に結衣が混ざっていることに気がついた。
……あっ、ま、まぁ、別に問題は無いか。
ハーレムを作るつもりなんだし、真奈との関係を知られたって問題は無い、はずだ。
結衣の方は別にヤンデレって感じじゃないし、許してくれるだろう。
この世界からしたら別にハーレムは普通のことなんだからな。
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