今更変えられないけど

 真奈が帰って行ったのを確認した俺は、直ぐにスマホを取り出した。

 真奈にスマホを取られる直前、通知をオフにしていたから、真奈にはバレなかったけど、そこには結衣からのメッセージが大量に溜まっていた。


【ダメだった?】


【そうだよね。優斗くんとそんなに毎日毎日電話なんて出来るわけないよね。ごめんね】


【……優斗くん、嫌いにならないで。もうわがままなんて言わないから】


 真奈はヤンデレっぽい……と言うか、もう確定でヤンデレなんだけど、なんか、結衣はメンヘラっぽくなってないか?

 いや、別に可愛いと思うし、全然いいんだけどさ。


【ごめんね。ちょっと色々あって、返信が遅れちゃった。……電話は、今日は無理かな。デートの話は、また明日ね】


 そう思いながら、俺はそんなメッセージを直ぐに送った。


【うん。分かったよ】


 すると、直ぐに結衣からのメッセージが返ってきた。

 ……ハーレムを作るって目標は変わらない……と言うか、今更変えられないけど、真奈の気持ちというか想いを聞いた今の俺は、いくら相手が好きな子の一人とはいえ、電話をする気にはなれなかった。

 まぁ、明日にはちゃんと気持ちを切り替えるし、平気だ。

 さっきのメッセージを見て更に思いが深まったんだけど、今更結衣の責任を取らないなんてこと、できるわけが無いからな。


【電話、してないよね?】


 そんなことを考えていると、さっきまで一緒にいた真奈からそんなメッセージが着た。


【してないよ】


【なら、今から電話を掛けてもいい? 直ぐに出られるよね?】


【いいよ】


 本当に電話なんてしていないから、俺は直ぐにそう返信をした。

 すると、その瞬間、真奈からの電話が掛かってきた。


「もしもし? ね? 直ぐに出られたでしょ?」


「うん。ごめんね、優斗、疑っちゃって」


「全然いいよ。……その、さっき俺が言ったことのせいだと思うし」


「……私だけでいいって考え直してくれた?」


「ごめんね、今更、それは無理かな」


「……私は絶対に認める気はないけど、今日はいいや。切るね、優斗。また明日」


「う、うん。また明日」


 そうして、真奈との電話は直ぐに終わった。




 そして、それからは特に何も無く、次の日になった。

 俺はいつもより早く準備をして、いつもより早く学校に行くために家を出た。

 真奈と会いたくないから、早めに学校に行く……なんて理由なわけがなく、俺から頼んだ訳では無いけど、いつも真奈に家の前で待っていてもらっているし、昨日のこともあって色々と悪いと思うから、今日は俺が待とうと思ったからだ。

 ……今更ハーレムを作ることを止めることは出来ないけど、こういうところでもちゃんと真奈のことを考えていかないとな。

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