絶対に責任を取らなくちゃならないから

「こ、これで、もう懲りた?」


 かなり服が乱れた状態で、真奈は俺を見下ろしながら、そう聞いてきた。

 俺に前世の記憶があるって言うのはもちろんあるんだけど、それ以外にも、真奈に襲われたとしても、おしおきなんてものにならない理由はある。


「えっと、俺は真奈のことが好きなんだから、これはお仕置にはならない、よ?」


「ッ、な、なら、私だけで充分、だよね?」


「ごめん。それでも、俺は結衣のことも好きだから……」


 今更もう巻きもどることなんて出来ないから、俺はそう言った。

 だって、結衣はもう絶対に責任を取らなくちゃならない域に達してると思うんだよ。

 だから、仕方ないんだよ。

 

「……なんで? なんで、私じゃダメなの?」


「ち、違うよ! 真奈のことも、もちろん大好きだよ。……というか、大好きじゃなかったら、あんなこと、してないから!」


 正直、俺は全然好きじゃない女の子でも可愛かったらできるんだけど、そんなこと真奈からしたら知る由もないし、予想もしていないだろうから、俺はそう言った。

 

「……なら、私以外の奴と付き合いたいだなんて言わないでよ」


「それは……もう、好きになっちゃたし、そ、それに、こんな男が少ない世界なんだから、大勢の人と結婚して、大勢の人に子供をたくさん産んでもらった方が良いと思うからさ」


「私がいっぱい産むから、必要ない」


「ま、真奈のそんな気持ちはもちろん嬉しいんだけど、やっぱり、それは体に負担が掛かるだろうからさ」


 まるで真奈の為だから、みたいな言い方で、本当にクズすぎるけど、もう今更だと首を横に振って、俺はそう言った。

 別に真奈の為っていうのも、嘘ではないんだから、まだマシな方のはずだ。


「……優斗との子供のためなら、それくらい平気だし、問題ない」


「体の問題っていうのは気合いでどうにかなるものじゃないからね? 真奈」


 気合いで体の限界がどうにかなるのなら、世の中苦労なんてしないからな。

 ……まぁ、これで頷いて貰えなかったら、本当にどうしたらいいかが分からないから、必死なだけなんだけどさ。


「…………優斗の方から、キスして?」


「え? う、うん。分かったよ」


 いきなりそんなことを言ってきたから、少し困惑したけど、俺はすぐに頷いた。

 真奈みたいな美少女とキスをできるのはそりゃ嬉しいし、断る理由が無いからな。


 そしてそのまま、言われるがままに俺は真奈にキスをした。

 

「……優斗に私以外の女なんて、絶対要らないけど、今日のところは帰るよ。幼馴染とはいえ、女の子の私が優斗と二人っきりで一緒にいたなんて優斗のお母さんに思われたら、優斗が心配されちゃうだろうし」


「え、う、うん。分かったよ。なら、また明日ね」


「うん。好きだからね、優斗」


「俺も好きだよ、真奈」


 軽いそんなやり取りをして、真奈は帰って行った。

 帰って行ったといっても、隣ではあるけど。

 もちろん、隣とはいえ、乱れていた服は整えさせてから、だ。

 いくら逆転世界とはいえ、自分の彼女をあんな格好で返すのは抵抗があったからな。

 ……まぁ、ハーレムを作ろうとして、それを彼女である真奈に嫌がられてる時点で、そんなところに抵抗を覚えている場合なんかでは無いんだろうけどさ。




​───────​───────

あとがき。

 いつもお読み頂きありがとうございます。

 よろしければ、こちらの作品も是非どうぞ。


【幼馴染が依存体質なラブコメ世界の主人公に転生したから、どうにかしようと突き放したら突き放したで取り返しのつかないことになってしまった】

https://kakuyomu.jp/works/16818093078951344629

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