俺も……

 俺が真奈との初めてをした日は母さんに真奈としたことがバレることもなく、普通に過ごせた。

 その後の結衣との通話も楽しく無事に終わったしな。

 

【優斗、私、今日は学校休むから、一人になっちゃうけど、気をつけて学校に行ってきて】


 そして、そろそろ家を出て学校に行こうとしたところで、まるでそれが分かっていたかのようにちょうどいいタイミングで真奈からそんなメッセージが着た。

 休むって、体調でも悪いのか? ……もしかして、昨日のことが関係してるのか?


【なんで休むの? もしかして、俺のせい?】


 そんなことを考えて、前世も含めて初めてということもあって、不安になってしまい、俺はそう聞いた。

 もしも俺のせいなのなら、俺も学校を休んで、看病? をしたいからさ。


【……言わなきゃダメ?】


【俺のせいなのなら、言って欲しいかな。次はしないようにしたいし】


 俺に気を使ってくれているのか、渋っている真奈にそんなメッセージを送った。

 

【…………幸せすぎて、昨日、眠れなかったの】


 すると、いつもならすぐに返信が来るのに、たっぷりと時間を置いて、そんなメッセージが帰ってきた。

 ……そんなこと、あるか? 普通。……可愛すぎるだろ。

 

【優斗のせいっていうか、優斗のおかげだから、気にしないで、学校に行ってきて。……ただ、ちゃんと警戒はしてね。優斗、色々と無防備だから】


【よく分かんないけど、分かったよ。ゆっくり休んでね】


 無防備というか、無自覚な振りを辞めるつもりは無いからこそ、俺はそう返事をした。

 そして、ネガティブな理由で真奈が休むわけじゃないことに安心した俺は、そのまま学校に向かうことにした。




「あ、由菜ちゃん」


 そうして、久しぶり? に一人で学校に向かっていると、不良少女(?)こと由菜が歩いているのが見えたから、俺は呟くようにそう言った。

 由菜、家こっちの方なのか。いつも真奈と一緒だったから俺が気にしてなかっただけなのかは分からないけど、初めて見かけたな。……多分。


「由菜ちゃん! おはよ」


 そんなことを内心で思いながらも、俺は笑顔で由菜に近づいて、そう言って声をかけた。


「うぇっ!? あ、ゆ、優斗……な、なんか用、かよ」


「別に用は無いけど、たまたま見かけたから声をかけたんだよ。ダメだった?」


「べ、別にダメ、では無いけど……じゃなくて! ダメではねぇよ!」


 顔を赤くして、由菜はそう言ってきた。


「なら、一緒に学校行こ?」

 

「う、うん……」


 やっぱり、とてもじゃないけど、見た目以外は不良少女とは言い難いよな。

 ……まぁ、中学生で耳にピアスの穴が開いている感じそういうところは不良少女っぽいけどさ。

 ダメだもんな。そういうのって、普通の学校はさ。

 俺のいる学校がどうかは知らないが、多分、ダメだろう。


「手も繋ぐ?」


 こんな不良っぽい見た目なのに、顔を真っ赤にして恥ずかしがってるのが面白くて、俺はついからかうようにそう言ってしまった。

 由菜と手を繋ぎたく無いってわけじゃないし、頷いてくれるのなら頷いてくれるで全然いいんだけどな。


「つ、繋ぐ……わけないだろ! さ、さっさと学校行くぞ!」


「えぇ〜……まぁ、分かったよ」


 ……ん? よく考えたら、これは無自覚な振りというより、からかっているだけじゃないか? 

 まぁ、今はいいか。

 割と俺も昨日の真奈との出来事のおかげで気分がいいしな。

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