まだ中学生だし

「……真奈、そろそろ、服を着よう」


 なんとかやっている途中に母さんが帰ってくることは無かったけど、この状態のままいるのは不味いということで、俺はそう言った。


「う、うん」


 すると、真奈は恥ずかしそうにしつつも、服を着るために動き始めた。

 ……俺も服、着るか。


 そうして、俺たちは服を着替え終えた。

 お互い、事後とあっては流石に気まずいのか、口数は少ない。

 二度目だし、今回はお互い同意……そう、真奈からしても、お互い同意の上だったんだし、別に問題ないと思うんだけど、今回はそう言う話じゃないんだろうな。


「ゆ、優斗、と、取り敢えず、今日は帰るね」


「うん。母さんも帰ってきちゃうし、分かったよ」


「ま、また明日ね」


 別に母さんに真奈との関係を一生隠す気はないけど、今はまだ隠したい。

 普通に結衣ともそういう関係になるつもりだし、ちょっと、気まずいからな。

 一夫多妻が普通の世界だってことはもう充分わかってるし、だからこそ、俺は結衣ともそういう関係になりたいわけなんだけど、やっぱり気持ち的にな。

 ……まぁ、気持ち的に母さんに言えないのなら、ハーレムなんて目指すなって話なんだけど、それは無理だ。……男だし、仕方ない。


「最後にギュッてしよ?」


 そんなことを思いながらも、俺はそう言った。

 かなりキモイけど、それはもう今更だろう。

 

「う、うん。分かった」


 真奈が頷いてくれたのを確認して、俺は真奈を抱きしめた。

 

「優斗……私、今すっごく幸せ……」


「俺もだよ」


「うん……好き、優斗」


「俺も好きだよ、真奈」


 そんなやり取りをして、俺はずっとこうしていたい気持ちを抑えて、真奈を離した。

 

「……そろそろ、本当に帰るね。ピルとか、飲まなきゃだし」


 すると、真奈は残念そうにしつつも、そう言ってきた。

 ……うん。それは早く帰ってもらわないと困るわ。

 いつかはちゃんとそういう面でも責任を取るつもりだけど、まだ中学生だからな。

 論理的にも、ダメだわ。産まれてくる子が可哀想すぎる。


 そうして、真奈は帰って行った。

 帰って行ったと言っても、隣なんだけどさ。


 そんなことを思いながら、暇になってしまったから、何となく癖で俺はスマホを確認した。


【今、暇?】


 すると、そんなメッセージがちょうど俺と真奈がやっていた時辺りに着ていた。

 うん。その時は全然暇じゃなかったな。

 

【ごめんね。今暇になったけど、何か用だった?】


【声が聞きたいから、電話をしたかっただけだったんだけど、迷惑だった?】


 返信は直ぐに帰ってきた。


【そんなことないよ。今からでもいいなら、する?】


【いいの?】


【うん。俺も結衣の声、聞きたいしね。……あんまり長いことは出来ないかもだけど】


 母さんが帰ってきたら、直ぐに夕飯を作ってくれるだろうしな。


【うん! ちょっとでもいいから、優斗くんの声聞きたい!】


【なら、掛けるね】


【うん!】


 そうして、俺は結衣との通話を始めた。

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