……奪われた?

「真奈、良かったらなんだけど、体、洗ってくれない?」


 このままじゃ本当に何も無く終わってしまうと思った俺は、そう言って、真奈を誘惑することにした。

 

「ぇ、ぁ、ぇ、い、いい、の? せ、背中、触っても、大丈夫、なの?」


「うん。大丈夫だけど、なんで?」


「な、なんでもないよ! あ、洗う。洗う、から」


「そう? なら、お願いするね」


「う、うん」


 真奈も頷いてくれたことだし、と俺はそう言って背中を向けた。

 すると、真奈は恐る恐ると言った感じにではあるけど、何故か素手にボディーソープを付けて、そのまま俺の背中に触ってきた。

 え? 何? ここ、もしかしてそういうお店なの? と思ってしまうくらいには、やばい。

 

「ま、真奈?」


「ぇ? あ、ご、ごめん。わ、わざとじゃなくて……」


「別に嫌だったわけじゃないし、大丈夫だよ? 真奈の手、気持ちいいし」


 前の世界だったらかなりきもいことを言っている自覚はあるけど、それはもうこんな美少女に一緒に風呂に入ろうと誘っている時点で今更だ。

 

「ほ、ほんと? な、なら、このままでも、いい?」


「うん。大丈夫だよ」


 俺が我慢できなくなるかもしれない、という点を踏まえれば、大丈夫じゃないのかもしれないけど、俺はそう言った。

 すると、真奈はやっぱり恐る恐るではあるけど、俺の背中をボディーソープの着いた手で洗ってくれた。


「ま、前も?」


 もう下半身も限界だ、といったところで、真奈はそんなことを聞いてきた。

 もしかして、俺が誘惑していると思っていたのは全部勘違いで、真奈の方が俺を誘惑してきてるんじゃないのか? と思えてしまうくらい、真奈はやばいことを聞いてきている。


「ま、前も、お願いしようかな」


 下半身がやばいことがバレるかもしれないけど、俺はもう我慢できずに、そう言った。

 もう、バレたらバレたでいいと思う。真奈の方から襲ってきてくれると思うし、それでいい。

 だって、どうせ我慢できなくなるんだったら、こっちの方が絶対いいと思うから。


「わ、分かった。……このままで、いい、よね」


「……大丈夫」


 俺がそう言うと、真奈は俺の後ろから手を伸ばしてきた。

 ……落ち着け。俺は無自覚な振りをしてハーレムを作るって決めたんだ。

 絶対に俺から襲ったりなんかしないぞ。


「あ、洗っていくね」


「う、うん」


 タオル越しではあるけど、真奈の体が俺の背中にくっついてきた。

 まだ中学生だし、めちゃくちゃでかいって訳でもないけど、確かな弾力がある胸が背中に当たっている。

 やっぱり、真奈の方が誘惑してきてるだろ、これ。

 

「……胸も、いいんだよね」


 内心で俺がそんなことを思っているなんて想像もしていないであろう真奈は呟くようにそう言って、俺の胸も触ってきた。

 もう、早く襲ってくれないかな。結構、限界なんだけど。

 

「は、はい。こ、これで終わり、だよ」


 そう思っていると、真奈は耳の先まで顔を真っ赤にしつつも、そんなことを言ってきた。

 

「……終わり?」


「う、うん。終わり、だよ?」


 いやいやいや、ここまでしておいて、これで終わり? それは流石に無理だって。

 

「……真奈」


「ど、どうしたの?」


「さっきから、ここがこんなのになっちゃってるんだけど、これ、どうしたらいいの?」


 ギリギリで残した理性を使って、俺は無自覚な振りを続けつつも、真奈に絶対に襲って貰えるように、下半身に巻いていたタオルを取りながら、そう言った。

 完全にセクハラ変態野郎なんだけど、この世界なら、大丈夫だと信じて。


「え……ゆ、優斗、そ、それ……う、うん。大丈夫。私が、私が、元に戻す、からね」


 そこから先は早かった。

 真奈にゆっくりと唇を奪われて、童貞も卒業……いや、奪われた。

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