第6話 「・・・」
そのまま番組収録は終わった。
三上さんや事務所の人たちから、色々と褒めてもらった。「1発目で優勝できるなんてすごいね」、「君はうちの事務所のエースだよ」。その言葉は、私の心に違う意味で突き刺さっていた。
家まで三上さんの自動車で送ってもらったが、車内で会話した内容は全然覚えていない。
家に着き、布団に力弱くダイブした。ずっと心に"アレ"が引っかかっている。
そもそも私は、逃げ道がアイドルなだけだった。少なくともこの世界に来てからは。
どうせ他にやりたいことない、いつ元の世界に戻れるか分からないし挑戦してみたかった、芸能界に入れたら金持ちイケメンと付き合えるかもしれないから、、、、、、
くだらない理由で私はアイドルを目指していた。全部、受動的だった。
三上さんの褒め言葉や叱りで一喜一憂したりして、情けない。私はこのまま、アイドル選考に進んでいい資格は無いのではないのか。そう思えてきた。
涙を流した彼女の過去は知らないが、歌唱を見た目でごまかすような行為など一切していない。それなのに、自分といったら...
考えれば考えるほど、自分自身が情けなく感じる。ほんとうに私はダサい人間だ。なんで優勝なんかしちゃったんだろう。
私なんかじゃなくて、他の子が優勝すべきだったんだ。私なんかじゃなく、、私なんか、、、所詮ただの地下アイドル...
わたしは、派手髪の化けの皮を被った"落ちこぼれ"
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チリリリリリリリリン♩ ガチャ
「・・・・・・・・・・」
「もしもし、どなたですか?」
「三上さん、、、わたし、アイドル目指すの辞めます...」
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