第3話 信実を見つめて
―――――――――駅前。
明るい茶色、ほぼ金髪の巻き髪ツインテールが目印だと言われ探していると直ぐに見つけた。
僕は彼女に近寄って何をとち狂ったのか、
初対面でキスした。パーソナルゾーンも何も無かった。
僕自身も溜まってたのもあって直ぐにでも痛め付けて無責任にも彼女の中で大暴れして吐き出したかった。
でも…キスした時に初めて感じた。
…体に電気が走る感覚。
僕は…もう一度キスした。
何故か彼女は拒否することなく白昼堂々のキスを二度も受け入れた。
僕は何故か笑いが込み上げて、本当に頭がおかしくなってしまたのかと思った。
つい数分前まで目の前の彼女を痛め付けて身勝手に扱う事しか考えてなかったのに、僕の口から出た言葉は、
『沙耶、ごはんたべた?』だった。
彼女は驚く様子もなく、
『まだだよ。』と答えた。
『じゃあそこの喫茶店行く?』と何かに突き動かされるように僕は彼女と腕を組み喫茶店にはいった。
僕は元々優柔不断。なかなか選べないでいると彼女に聞かれた。
『なんでそんなに悩んでるの?』と。
『沙耶と一緒のものを食べるべきか別々のものを頼んで分け合うべきか…わかんなくなっちゃった。』
そう本音を言うと沙耶は微笑んだ。
『じゃあ、私このナポリタンってもの食べてみたい。だから侑海はカルボナーラ食べてよ。』と言ってきた。
一瞬違和感を感じた。
『ナポリタン食べたことない?』
『…多分あると思うんだけど、うちで出たことなくて。』
『ご実家、パスタ苦手なの?』
『そうじゃないんだけど、親があのすする音が苦手で汚いって。ソースもはねるしって。父親は気にしないけどママがうるさくて…。』
一瞬にして顔色が変わるのを感じて、沙耶の手に僕の手を重ねた。
(大丈夫だよ。俺いるから。なんも怖くない。大丈夫。)
そう心の中で伝えると、沙耶は微笑んだ。
僕は何故か『そう。大丈夫。』と声に出していた。
その後2人でご飯を食べて、
そのままホテルへ。
思いのままに求め合って僕は初めて会った彼女を家に連れて帰っていた。
その夜は優しく抱いた。
彼女を腕の中で抱いていると罪悪感が込み上げてきた。だから彼女が眠ったのを見て、
『ごめん』と言うと、
(なにが?)と聞こえた。
(え?)
(なんで謝ってんの?)
(…俺誰と話してんの?)
(あたし、沙耶。)
(…そういう事ね。)
僕は寝ている沙耶の頭を撫でた。
そういえば当時、彼女の耳には二つずつしかピアスがなかった。
その耳を撫でながら、
(俺、中途半端に沙耶に手伸ばしてた。自分の欲求みたいなものなのに。会って勝手に満足してた。さっきホテルでお前として痛いくらいそれに気づかされた。本来であれば俺の方が5個下だからできっこないけど、ああやって過去に行けばお前をちゃんと助けてやれたかもしれない。でも下手に手出したら今日こうやってお前を抱くことが出来なくなるかもってまた身勝手に考えてた。)
(侑海は優しいから。全部あたしは嬉しかったよ。今日もそう。いつだってそう。私は侑海との時間が一番幸せ。)
(ごめん…本当に身勝手で。これもきっと俺の妄想でしかないんだよね。全部夢の中のことなんだよね。お前使って勝手にまた過去に戻って満たされようとしてた。自分のエゴばっか。俺ね、お前のこといっぱい傷付けたんだ。ピアスだって今空いてるもの『男』だろ?って言って付け替えさせてあげく3つずつ俺がこの手で開けた。それにお前が泣き叫ぶのもお構い無し…というかもう抑えられなくてお前のここにも開けた。ここにも。それでもまだ足りなくて、ビル地下でお前を椅子に縛り付けて手とか首とかにニードル刺して血だらけにして遊んでた。そんなお前みながら目の前で1人でしてお前の口の中に出したり…。でもお前はそれをさせてくれてた…。お前だけだったんだよ?全部受け入れてくれたの。…ほら今だって。寝てても構わないからお前の手借りたい…。お前のこの手で…こうなったらもう罪悪感なんでどっか行っちゃうんだよ…綺麗事にしかなんなくなっちゃって…
すると、沙耶はゆっくりと目を開けて僕の首に口付けた。
そのまま片手で僕の胸の先端を弾きながら僕に
『
僕はその言葉に対して、沙耶に上から口付けた。
『信じていいな?』
『うん。』
『…たまにあの日に戻りたくなる。初めて会った日。ナポリタンを知らないお前に会いたくなる。いい所のお嬢さんが俺みたいな庶民と雑な喫茶店で飯食ってそのまま雑なホテルで抱かれる。そんな非道な日に興奮する。でも、またそう考える俺自身に嫌気がさす。…なぜなら気付かされるから。本当の本当は沙耶がいい。わがまま聞いてくれる沙耶がいい。俺の為に死なない程度に壊れてくれるそんな都合のいいお前がいい。』
『…最低。クズ。…でもね、あたしはそんな最低でクズなあんたが好き。あたしも頭おかしいからさ。いつの間にかあんたしか要らなくなっちゃったんだ。』
『誰にも抱かれてない?』
『あるわけないでしょ。』
こうやってはっきりと物言いをするこの人が好きだったりする。
甘くて苦いこの人が好き。
―――――――『あぁ、もう無理。』『来て。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます