転生先の中華風異世界で、世話になった邑を焼き落とした仇敵への復讐がストーリーの主軸にあった第1部、第2部。
知略の後宮サスペンスの第3部を女の園の話だとすれば、この第4部は一転、歴史を動かす男たちの物語と言えるでしょう。
今回は、草原の騎馬民族・白髪部が主な舞台。
カリスマ性あるトップが退いた後、一族内のパワーバランスに変化が訪れてあわや一触即発……という危うい状況のところへ、我らが主人公・麗央那は遣わされます。
一族の大統を継いだ末子・突骨無と、別の部族の地を引き継いで首領となった孫・斗羅畏の軋轢に、彼女はどう立ち回るのか。
政治や経済に関わる話が、非常に読み応えありました。
国内の部族同士の関係性、一族内のゴタゴタに留まらずそれが周辺国への隙となりうる緊張感、カネや商品の動き。
どこかの史実ではないかと錯覚するほどのリアリティで、登場人物一人一人の行動原理にものすごく説得力を感じました。
漢気あふれる白髪部メンズの気骨が素敵です。
第3部にて「誰も死なせない」と決意した麗央那の意志が、ただの綺麗事で終わらないパワーと確かな人脈の元で敢行されていく展開がお見事。
また麗央那の主である翠蝶の存在感が重要な局面で効いており、第4部でのブレのない軸となっています。
そしてこの部の最後では、本シリーズをここまで追ってきた者だけに見られる景色があります。
祝福に満ちた奇跡のラストシーンを、一人でも多くの方に味わっていただきたい。
シリーズ通して、本当に素晴らしい作品だと実感しました。激烈おすすめです!