身軽な風になりたかったわ

生きたくないのよ

涙ながらに這いつくばって

地面を濡らして泥に塗れて

生きていくのは辛いのよ

誰にも助けられない生き物に

生まれてきてしまったもので

泣いても私は目が腫れるだけ

醜く顔が膨れていくだけ

身軽な風になりたかったわ

余計なことも考えず

身体があちこちに流れる

身軽な風になりたかった

それもまた夢のこと

肉体を得てしまった私に

今更湯船に浸かったところで

足は尾鰭に変わるどころか

二本足のまま浴槽を蹴る

どうしてもどうしても

もう手遅れなの

私いつか

風になりたいと泣いていた

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