第三通目 強すぎる妻からの手紙
【お題】強すぎる妻(優)から探偵の旦那(強)への手紙
LINEで悪いねんけど、1つ頼まれてくれるか!?
あんな!?
ガリツマちゃんはアタシのことファン過ぎて、彼女いない歴=イコール年齢やんか!?
アタシが、元
ほんでな、ガリツマちゃんは、見た目『ひょっこりはん』にクリソツねんな! 分かるやろ!?
そのうえ、服もヨレヨレの着てはるしな!
いくら世界に、女が40億人おるっちゅうても、さすがに、もうちょっとオシャレに目覚めさせんと、難しいやろ!?
せやから、『ひょっこりはん』みたいな男がタイプ言ゆうとる、元・アイドルの子が奇跡的におってん、こりゃ紹介せな絶好のチャンスを逃すんちゃうか、と思って、食事の約束を取り付けさせたんや! アタシすごいやろ!?
ほんでな、頼みごとはな、ガリツマちゃんのデートを、
耀ちゃんにはな、洋服選びを
強にはな、2つお願いしたいことがあってん!
1つはな、職場の上司として、人生の先輩として、ビシッと、女子とのトークスキルを伝授してやってほしいんや! ガリツマちゃんは、仕事のときはビシッとしてんねんけど、それ以外ではシャイボーイなんや! ガリツマちゃんにとって、無敵の最強美人の我妻優を口説き落とした、我妻強はレジェンドなんや!
そして、もう1つのお願いはな、デートを尾行してもらいたいねん!
日にちはな、明日の土曜日の夜7時から、場所は、海浜幕張かいひんまくはりの『
きっとガリツマちゃんのことやから、デートがうまくいかんでも、アタシには見栄を張ってうまく行ったと言うはずやねん!
せやから、第三者的に、悪かったところをフィードバックせなあかんねや! ほんで、2人に気付かれへんようチェックして、アタシが帰ってくる明後日の夜までに、調査報告書をまとめとくことや!
土曜日は予定が詰まっとるかもしれんけど、よろしく頼むわ!
あ、子どもたちは、母ちゃんが日曜まで預かっとるから、安心してや!
ちゃんと、調査報告書をまとめたときには、ご褒美の¢£%#&□△◆■が待ってんで!
でも、できひんかった場合には、必殺のコークスクリュー・ブローをお見舞いすんねん、覚悟せえや!
とゆーことやから、よろしく頼むわ!
あ、こっからは、余談ねんけど! 今な、アタシ、映画の撮影で大阪に来とんねん! 千葉もええけど、やっぱ、生まれ育った街は落ち着くな!
天空アカネっていう『カケヤヨメヤ』発の人気恋愛作家が書いた『探偵が見初みそめた女が極道だった件』の映画出演が決まってん、そのヒロインの「極道の女」役にアタシが抜擢されたんや! すごいやろ!
『カケヤヨメヤ』発のアニメはあるけど、実写は珍しいな! アタシのゴリゴリの関西弁が、めっちゃハマリ役なんだそうや! ありがたい話や!
それにしても、この作品に出てくるヤクザがごっつぅリアルで、天空アカネは、実は元・構成員やないかという噂まで出てんけど、あくまで噂レベルや!
ちょくちょく撮影で、千葉と大阪の往復になるけどな、アタシが映画で恋人役やるからって、ヤキモチ焼いてアタシいない間に女作ったら、どーなるか分かっとるな!!!?
ま、強に限ってそんなことないと思うねんけどな!
ってことで、ガリつまちゃんのことよろしく!
今日中でも調査中でも調査後でも構わへんからLINE返事よこしてくれや! ええな!?
💐【解答】強より愛を込めて
優ちゃんへ
ただ、尾行は得意分野ですが会話のアドバイスと言うのは難問ですね。いつも優ちゃんが一方的に話してくれるおかげで、私は「そうですね」「ありがとう」「愛してる」だけで充分ですから。でも、まあそれを伝えておきましょう。
津曲君の個性的な見かけを理解している女性なら、きっとありのままの津曲君を好きになるはず。
私達みたいにね。
だから、朗報を楽しみにしていてください。
必殺コークスクリュー・ブローをかます優ちゃんの凛々しい姿も好きですが、今回は出番は無いと思います。
それから、ヒロイン決定おめでとう!
ヤキモチを焼かないというお約束はできませんが、浮気をしないという誓約は命をかけても大丈夫ですよ。
仕事に全力投球の優ちゃんを、私はいつでも応援していますからね。
ご褒美をいただける瞬間が待ちきれない貴女の夫より
💐★コラムニストの考察
『かかあ天下』と言う言葉があります。皆さんはどんな夫婦を想像するでしょうか。
奥さんの尻に敷かれて頭が上がらない。
家計を握られ飲み代捻出に苦労する。
ちょっと情けなくもコミカルな夫の姿。
大和撫子なにそれ美味しいの?
三歩下がるより三歩前を歩き、言いたい放題情け容赦無く口にする妻の姿。
でも、心の底に微かな微笑ましさを秘めながら口にすることが多いのではないでしょうか。
何故なら『かかあ天下』の家庭の方が夫婦円満だと言うイメージもあるからです。
『かかあ天下』と言う言葉がいつ頃生まれたのか、グーグルさんに尋ねてみると、明治生まれの上州(群馬)育ちだそう。絹織物産業の盛んな地で、女性が養蚕、製糸、織物を担い大変働き者だったことを、夫達が『俺のかかあは天下一』と言った事が始まりだとのことでした。
そこには、家族のために必死に働く妻と、それを讃え敬う夫の、互いを思い合う心が溢れていたのではないでしょうか。
男は強く、女は優しく。そんなステレオタイプな決めつけは、時代遅れで差別的と認識されつつある現代においても、まだまだ根深く残っている性差意識の中で、如何に『人間同士』と言うスタンスを築けるか。
今回の夫婦のやり取りを見て幸せそうだなと思ったら、もう一度自分に問いかけてみてください。
自分はどうありたいのかを。
まずは自分自身がありのままの自分を受け入れなければ、ありのままの自分を受け入れてくれる人との出会いも生まれませんし、あっても逃してしまいます。
『こうあるべき』と言う理想や偏見を超えて誰かと関わった時ほど、人は真の繋がりを感じられるのではないでしょうか。
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