第154話 お茶会に来ただけなのに
疲れるイベントが終わった…
しかし、マイアに会えて話せたのは正直嬉しかったが、それ以上に何とも胸糞の悪い真実を知ってしまった事が俺の心をぐちゃぐちゃにかき乱していた。
…なのに…何故更に追い討ちをかける様に、王様からのお茶のお誘いまで来るのでしょうか?…
まぁ、ニンファの町の教会の件で陛下に会う予定ではあったが、担当してくれたメイドさんから情報が上がったらしく、現在、国王陛下に宰相様や近衛騎士団長さんから、お茶会という名の尋問を受けている。
ホークスさんとセラさんも先程の俺とマイアとの一件は知らないので、説明も兼ねて、全てを報告をする事になったのだが、俺の生い立ち等を既にユーノス辺境伯様から聞いていた国王陛下もそうなのだが、宰相様が、
「ナルガ子爵家を罠にハメて、家を乗っ取るなど、許す訳にはいきません!!
陛下!ラーストめを捕らえ罰を与えるべきです」
と、真っ赤な顔で怒ってくれた。
国王陛下は、
「これこれ、あまり興奮するでない…倒れても知らんぞ…
それに、証言だけでは罰は与えられん…証拠でも無いと軍務卿を捕らえることすらできんだろう…」
と呆れているが、宰相様は興奮したまま、
「そんなもの、捕らえて拷問にでもかければあらいざらい白状します」
と、怖い思想で話す。
流石に俺も、
「宰相様、下手に突っついて軍務卿派閥が暴れたり、他国に寝返れば王国はもっと荒れて、誰が勝利しようと難民がまた増えます。
証拠を集め、仲間を増やし、対抗出来るようにこちらも諸々準備をしてからですよ」
と提案すると、宰相様は、
「くーっ、戦争中であるのが口惜しい!
平時であれば、軍務卿の悪事に集中出来るものを…」
と、少し冷静になったみたいだが、今度は悔しさで拳を握り固く目を瞑る…すると、シーナさんが、
「発言失礼致します。
我が父が、戦争に腑に落ちない点が幾つかあると…
とても攻め込まれるとは思われない戦局にあまり関係のない砦を易々と落とされたり、かと思えば、その砦を翌年は容易く奪い返したりと、まるで裏で申し合わせたようだと申しておりました」
と言ったので、俺も、
「確かにウチの父上達もそうだし、軍務卿の派閥のゲインズ男爵の配下がニンファの町にベッキーさんを奪いにきたその前に騎士の甲冑を着て素顔を隠して、ベッキーさんを金貨で売れと迫ったシーバ子爵も騎士諸とも次の戦争で何故か皆殺しらしいからね…」
と合いの手を入れると、今度は国王陛下が、
「ジャルダン男爵よ、我が家の一員になるベッキーに手を出そうとしたとは?盗賊まがいの男爵の手の者だけでは??」
と、今までに無い怖い顔で聞くので、あの時、情報を集めに行ったナッツとセラさんの報告も合わせて、ウチの村にいるシーバ子爵家からの解放奴隷の話や、罪を全て被されて取り潰されたゲインズ男爵家の使用人達の話を伝えると、真実を聞かされてなかったらしい国王陛下が真っ赤な顔になり、
「馬鹿にしよって…証拠を消す為の口封じが目的ではないか!
司法卿の派閥も抱き込んでおるのか…私はなんと無力なのだ…」
と、やり場のない怒りを噛み締めていた。
俺は、
「もう、ザムドール王国と仲直りとかしませんか?
戦争とか、誰も喜びませんし…」
と国王陛下にアホみたいな提案をしてみると、宰相様が、
「陛下、やはりザムドールに送った特使が消えるなどおかしいは思われませんか?」
等と陛下と話している…
やはり、軍務卿派閥はこの国でかなりの力を持っていて、やりたい放題なのだろうと、再確認する結果になっただけのお茶会の二次会だった…
しかし、このお茶会では、
『今は力を蓄え、証拠を集めるべき』
との結論に至り解散となったのだが、最後に国王陛下が、
「ジャルダン男爵、教会の件楽しみにしておくので、そなたも楽しみにしておれ…」
と、良く解らないお言葉を頂いた。
俺は色々あり過ぎてもう、クタクタであるが、ついでなので教会まで足を伸ばし、神官長様もニンファの教会を建てるイベントにお誘いをすると、
「赴任する神官とシスターも連れて行って宜しいかな?」
と聞くので、俺は、
「多分1日で教会は、ほぼ完成しますので、何名でもどうぞ、教会で雑魚寝で良ければ宿も要りませんので…」
と神官長様答えると、嬉しそうに、
「では、倅夫婦を呼び寄せませんと…」
と興奮する神官長様に、
「しかし、神官長様…馬車での長旅は大変でしょ?」
と俺が心配すると、神官長様は、
「腰が砕け散っても、精霊様の偉業をこの目で見るつもりでございます」
と怖い決意を表明したので、思わず俺は、
「砕け散らないように、セーニャの町に来てくれたら、精霊の力でニンファの町に転移できますし、
時間が有るのでしたら、温泉という特別な湧き水で沸かしたお風呂にも入れますから、腰痛にもポーション程ではないですが、なかなか良い効果もあり、気持ちいいものですよ」
と誘っておくと、えらく神官長様が乗り気になって、
「では、私を一度試しにニンファの町に招待して下さらないか?」
と言い出すので、俺が、
「お安いご用ですよ。教会のお仕事が大丈夫ならばニンファの町の精霊ベッキーさんと、ウチの村の妖精ヒッキーちゃんも神官長様にご紹介しますよ」
というと、神官長はソワソワしながら、
「新年の祈りなど既に終わり、あとは春まで特に行事も無いので、泊めて頂ける場所があるのならばすぐにでもお願いしたい!」
というので、ジャルダン村に帰るついでに、早速1泊2日の精霊や妖精に逢いに行こう!温泉付きプランに招待し、神官長はお付きの教会の職員さん二人を従えて、我が家の馬車の後に並びセーニャの町へと向かって教会の真っ白い馬車で出発したのだった。
フットワーク軽いんだね…神官長様って…
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