第三十八話

 「グフ、グフフ、ブァハハハハハハ‼︎こりゃぁ傑作だな!!」


 俺は今、自分の部屋で机の上に置いてあるパソコンの映像を見て爆笑していた。千澄とかいう阿呆の喧嘩を買って、心を折るチャレンジをしていたのだが、沙耶香の対応が俺好みであり、その後の阿呆の反応に久々に腹を抱えて笑った。


 四宮グループとの交渉は最初、代表が高慢な態度で出迎えたが、海外との関係をすこーしだけ出したらすんなり黒島財閥の傘下に加わった。その時の態度の変わり様も傑作だったな。それに、ヤクザ供に喧嘩を売って潰して回ったのは、良い暇つぶしになった。


 沙耶香の評価が俺の中ではかなり上がっている。俺はあんな感じの強い女が好きなんだよな。俺の初恋の相手であるリンも、今の沙耶香みたいに強い女だった。


 沙耶香のあの顔にはグッと来るものがあった。結婚話を受けても良いかもしれないと、思い始めるくらいにはグッと来た。ちなみに、千澄はストーカーとして処理した。


 沙耶香が家に来た時、沙耶香は俺を見るや否や俺に勢い良く抱き着いて、すぐ寝たのには流石に驚いた。その翌日、沙耶香の家に記者供が群がっているようだったから、俺が仕事場に送ってやった。


 そして数日後、やっと【Revolution World Online】のアップデートが終わった。たったの二週間?だったが、意外と長かった。


 アップデートの内容は、プレイヤー同士の決闘システム、プレイヤーキラー、所謂PKに対してのペナルティーシステム、課金アイテムの実装と様々なシステムが解放された。あと、一部スキルの不具合の修正とゲーム内時間の加速を五倍から三倍に落としたそうだ。


 それと現実世界で一ヶ月後、公式によるプレイヤーの大会が開催されるらしい。種目は戦闘職のバトルロワイヤルと生産職の生産したアイテムの性能などを競うものがあるらしい。


 当然俺はバトルロワイヤルに出るつもりだ。ネットとかで検索したのだが、プレイヤーで今レベルは一番高くて124のようだ。それもイージーモードのプレイヤーらしく、レベルほどステータスは高くないそうだ。


 アポカリプスモードの俺が参加する場合、死んだら普通にキャラロストすると公式サイトに書いてあった。すなわち、俺は大会に参加したら優勝しないと終わりという状況になる。そっちの方がスリルがあって面白そうだから気にしてない。


 個人的には聖王国の大会に向けた準備運動のようなものと考えている。開催場所は亜空間で、参加するプレイヤーがそれぞれ専用の亜空間に転送されて大会が始まる。バトルロワイヤルは人数によるらしいが、決勝戦は予選を生き残った100人でやると爺さんから聞いた。一応、降参機能があると話していたが、何があっても使う気はない。


 課金アイテムは大した物はなく、種族を変えるアイテムや外見を変えるアイテム、回数制限付きのSP増加アイテムと特殊アイテムなどを売っているだけで、課金したからと言って極端に強くなる要素はなかった。


 プレイヤー同士で行動するメリットがアップデートの影響で増えたので、沙耶香と早く合流する必要性が出てきた。確か、沙耶香のプレイヤーネームは時雨だったけか?あとで、シルフォリア聖王国の王都で合流しようと連絡しておこう。いい加減、さっさとゲームを始めるか。


————————————————————


 ゲームにログインしてシアと火澄に時間の確認をすると丸一日しか経っていないと分かった。迷宮都市を出る前に俺はシア達に三ヶ月後に公式大会に出ることを説明した。


 「・・・つまり、ご主人様は同郷の方々と三ヶ月後に殺し合って来るという事ですか?し、しかも、ご主人様だけは普通に死んでしまう可能性があると。」

 「そうだな。まぁ、安心しろ。負けないから。」

 「そうそう。主様は強いから大丈夫です。シアは心配し過ぎですよ。」

 「分かってはいますが・・・突然いなくならないか不安なのです。」

 『安心せい。我が付いておるから負ける事はなかろう。なんせ、主人は我に真正面から勝ったんじゃからの。』


 シアは初めて会った時のように、不安そうにしていた。火澄は俺が負ける事はないと考えているのか一切心配していなかった。夜月は一緒に来れるからか、機嫌良くシアを宥めていた。


 「それよりも、聖王国にはどういう道順で行くんだ?」

 「はい。地図を確認して、私の精霊魔法でテルミア共和国の交易都市エラルカに行き、そこからゴブリン巣穴を通り抜け、そこから幾つかの小規模の街を行き来してシルフォリア聖王国領内に入り、聖都を目指したいと考えています。」

 「あの、シアの精霊魔法で聖王国?という所には行けないのですか?」

 「行けない事はないのですが、聖王国には様々な神の目があるので使いづらいのです。特に、夜月様の事がありますし。」

 『むっ、済まんのう。我のせいで手数をかける。アレから随分経ったが、今でも我に恨みを持つ者はいるだろうな。』


 となると、シアが話した道順で行くしかないか。神々の面倒事に巻き込まれるよりかは、時間かけて行った方が良いな。そして、シアは急に気不味そうにして話しを続けた。


 「実は、この道順にも問題があるのです。」

 「問題?共和国の事か?」

 「いえ、共和国は亜人差別が少ない国ですので、今までよりも過ごしやすいと思います。問題はゴブリンの巣穴です。あそこにはゴブリンやオークなどが沢山いて、その・・・・・私の呪いでそれらが群がって来るかもしれないのです。

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