第三十話

 俺は使用人のまとめ役である男に俺の島を荒らす馬鹿供の拠点を調べさせ、その間に持ってきた荷物から我が愛刀【氷雨】を引っ張り出した。奴らの拠点は簡単に見つかり、予想通り出来たばかりの新興組織のようだった。


 そこまでは車で移動すべきだと言われたが、はっきり言って屋根を走った方が早く着くし、見つかりづらいので「後処理は任せた。」と言って、一人で走って向かった。拠点に着くのに大した時間はかからなかった。


 「にしても、警備が雑だな。所詮は新興ってところか。」


 気配からして外に五人、中に人質合わせて二十三人だな。一人だけこの前感じた気持ち悪い気配と似た気配を放つ奴がいたので要注意だな。


 侵入は思った通り簡単に出来た。邸宅だけあって中は結構広い。隠れながら、ナキアの居場所を探した。人の気配がする部屋に片っ端から聞き耳を立てた。すると、すぐに当たりを引いた。


 「なぁ、ボスはどうだったんだよ。」

 「いつも以上に不機嫌だったぞ。ガキに逃げられたせいだ。クソ‼︎そのせいで殴られた。」


 二人の男の声が聞こえ、どちらも苛立っている感じで話している。


 「はぁ。なんでボスはあんなガキにご執心なんだ?本命はあの女じゃねぇのかよ。」

 「どうも違うらしい。でも、どうせすぐにガキも捕まるだろ。」

 「そうだな。あの女が要らないなら、ヤってもいんじゃねぇか?見た目は悪く無かったし。」

 「おっ、それ良いな。人質にもならないし、多少は有効活用しないとな。」


 そして、男二人はドアを開けて出てきた。俺は気付かれないよう後ろから付いて行った。途中、俺の後ろから来た他の二人組に気付かれそうになったが、即座に一人の首に短剣を刺し、もう一人は首を締めて折った。しっかりと、死体は使われてなさそうな空き部屋に放り込んでおいた。


 男二人は地下室に続いていると思われる階段を降りて行った。妙な気配を放つ奴が近くにいるので警戒を強めて移動した。


 地下室はしっかり掃除されてるのか綺麗だった。奥に行くと牢屋のような物がいくつかあり、その一つにナキアがいた。それを見て、歓喜で叫びそうになった口を手で押さえた。男達は牢屋の鍵を開けて、中で寝ているフリをしているナキアに近づいた。


 するとナキアは素早く流れるように男を一人殴り飛ばし、もう一人の首を折った。殴られた男は懐から何かの機械を取り出し、それを起動されようとしたので、隠れながら短剣を投げて阻止した。


 「そこにいるのは誰?敵なら容赦はしないわよ。」


 俺に気づいたナキアの前に出ようと立ち上がろうとすると、通路が急に暗くなりそこから大量の炎の玉が飛んできた。


 「まずい!!」

 「えっ!?」


 俺は急いでナキアの前に立ち、飛んできた炎の玉を斬った。ナキアが生きていたことの衝撃で奴の接近に気付けなかった。ルキアは俺の姿を見て、体を硬直させた。俺はそれを気にすること無く、再度飛んできた炎の玉を斬って消した。


 「おい、いるなら出て来い‼︎遠くでチマチマ撃ったところで当たらねえよ‼︎」


 周囲を警戒しながらナキアを射線の通らない横の通路に蹴飛ばした。そして、すぐに銃弾の嵐がやって来た。俺はそれを氷雨で致命傷になりそうなモノだけ斬り飛ばし、銃弾を躱しながら走った。嵐はすぐ止んだ。その代わりか、先程のより大きい炎の玉が結構な速度で飛んできた。


 俺はそれを斬ろうとしたが、直感が止めろと警報を鳴らしたので下がりながら短剣を投げた。短剣と炎の玉がぶつかると炎の玉は派手に弾けた。そして、また銃弾の嵐が来たが、炎の玉が弾けた時に暗くて見えなかった奥の様子を簡単でも知れたので、射線がわかる分さっきよりも簡単に躱す事が出来た。


 そして、お相手さん達との距離が近くなったタイミングで、無心一体を使って背後に移動した。後ろから斬りかかり、突然の奇襲にお相手さん達は混乱していた。斬り殺した奴をチラ見すると、暗視ゴーグルを身に着けていた。数は九人で、接近戦は苦手だったおかげですぐに片付いた。


 暗視ゴーグルを着けているにしては命中率が酷かったな。まだ奥の方、上の階で何十人も待ち伏せしていて、そこに炎の玉を飛ばしてきた奴の気配もする。想像以上に動きが早い。奥に進む前にルキアの様子を確認するために引き返した。


 牢屋に戻るとナキアが通路の角に隠れていた。すぐに俺に気付いて出て来た。


 「久しぶりだな。元気にしてたか?」

 「まぁ、元気だったかな。お久しぶりです、隆貴さん。あなたも元気そうですね。」

 「まさか、生きているとは思わなかったさ。すまんな、しっかり守りきれず。」

 「いいですよ。隆貴さんは一所懸命守ってくれましたし。」


 ナキアは昔よりも大人しく、落ち着いた様子で話していた。少し落ち込んでいる様子だが、大丈夫だろうか?


 「早くここを出ましょう。あの子が心配だし・・・。」

 「そうだな。なら、行くか。」


 俺は特に質問はせず、地下室の出入り口にナキアと一緒に向かった。


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 作者です。語彙力があまりにもなく、同じような言い回しを何度もしてしまうのですが、コレって慣れるしかないのでしょうか?何かアドバイスがある人はコメントお願いします。

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