第二十六話
俺はテリーザと向かいのソファーに座った。俺は睨んでくるテリーザを意に介さず飄々とした。
「そうなのか。で、それの何の問題が?」
「アンタが持っていた招待状は私が直接書いた物。それを渡した相手は私の記憶上一人だけよ。その者はどうした?」
テリーザが最後の言葉を威圧するように低い声で言うと周りにいた奴らが殺気立った。
(あぁ〜。コイツ、あっち側なのかな?面倒だけど確かめるか。)
「なら、アイツらが何なのか、お前は知ってるのかよ。何があったかは知らんが、アイツらはお前が思っている程厄介な奴だと思うぞ。」
「なに?どういうことだい?」
俺はシアに目配せすると、シアは俺のしたいことを察したのか眉を顰めた。察しが良いメイドは面倒ごとが嫌らしい。それでも、穏便に終わらせるにはそれしかないと分かっているのか、持っていたマジックバッグの一つを俺に渡した。
「アンタらが思っているように俺は招待状を奪った。でも、それには深い訳があるんだよ。特別に話しやるよ。」
「「「っ‼︎」」」
俺が威圧するとシア以外の全員が息を呑んだ。
俺は迷宮内であった出来事を包み隠さず全て話した。そして最後に、マジックバッグから記念に回収しておいた女悪魔の首を出してテリーザ達に見せた。
「こ、これは確かに私が招待状を渡した相手だ。だが、これは・・・。」
「お前が知ってる奴とは肌色とかが違うか?」
俺は揶揄うように言うと、テリーザは顰めっ面になった。
「・・・あぁ。これが、本物の悪魔かい?死んでいるのに禍々しいわね。・・・角が斬られた跡があるけれど?」
「素材が欲しくてな。それともう一つあるが確認するか?」
俺の言葉にテリーザは口を引き攣らせながら無理矢理笑みを貼り付けた。
「これはとんでもない傑物だね。分かった。降参するわ。今回の事は不問にする。でも、その代わりその首は貰ってくわよ。」
「構わん。というより、最初からそのつもりだったしな。後は、シア。」
俺に呼ばれたシアはテリーザと俺の間にあるテーブルに金貨の入った袋を五つ置いた。
「一袋に金貨500枚が入っています。」
「ココで払っても問題無いだろう?今すぐここに彼女を連れて来て欲しい。多分良いもんが見られかもしれないぞ。」
「分かったわ。そこの貴方、彼女を連れて来てきなさい。」
俺の提案にテリーザは即答で了承し、近くの男に竜人の女を連れて来るよう指示した。少しして、部屋に竜人の女が入ってきた。
「ボス、連れて来ました。」
「・・・これで良いのよね。」
「あぁ。夜月、望み通り買ってやったぞ。」
俺はマジックバッグから黒葬姫を出すと俺とシア以外の全員に緊張が走った。
『おぉー‼︎主人よ感謝するぞ。これ、そこの・・・。』
夜月は竜人の女に話しかけたようだが、その内容は、意図的なのか聞くことは出来なかった。女は夜月の声に驚いたのか肩が跳ねていた。そして、テリーザは、女の反応を不思議そうに見ていた。
「ほ、本当ですか‼︎」
女は突然大きな声で叫んだ。女の目は先程と違い一筋の希望に縋る者の目だった。静かにそれを俺達は見守っていた。女は感激した表情でまた叫んだ。
「お願いします‼︎私を貴方様の、■■■様の眷族に。」
女の言葉は変なノイズのせいで一部聞き取れなかった。すると突如女の体が光った。取り巻き供は武器に手を掛け、警戒した。俺とシアは素直に驚いていた。女の気配が急に変わった。なんというか、夜月と似た気配になって、最初と比べ物にならない程に強くなったように感じる。光が収まると竜人の女は俺の方に向いて頭を下げた。
「それじゃ、帰るか。」
「はい。」
そして俺達は、竜人の女を連れて呆然としているテリーザ達を置いて宿に戻った。途中、黒装束の不審者に襲われたが、弱くて楽しめなかったのですぐに殺した。後日、どっかの商会の建物前に串刺し死体が発見されたという話だが、俺には関係ないのことだろう。
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作者です。これからの上手い展開の仕方が分かりません。どうしよう。
短くなったので前回書き忘れた主人公の技などについての説明を載せます。
主人公の技について
破衝撃
•簡単に言うと発勁の超凄い版。攻撃の衝撃を一点に集中させ、相手の体を内側から破壊する技。この技は、相手が柔らかろうと硬かろうと一切関係なく相手を破壊する。
スキルについて
術式展開 ランクC
•戦闘で魔術を使用する際のほぼ必須スキル。これがないと大体の者は咄嗟に魔術を使えない。稀にこのスキルが無くても魔術を使える者はいる。尚、主人公はゲーム設定のせいで魔術威力上昇の効果以外何の意味も成していない。
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