第二十五話
女悪魔を殺した俺は、悪魔の角を斬り落として回収した。夜月は途中から静かになったので多分また寝たのだろう。俺は悪魔がいた部屋に戻り、部屋の中を漁った。すると俺が使っているのよりも容量が小さいマジックバッグを二つ見つけた。悪魔姉弟が使っていた物だったのか、中には人間で作られたような玩具みたいな物や闇オークションの招待状などが入っていた。
又、他には大量の金貨が入っていてざっと見た限り合わせて1500枚くらいあった。かなり溜め込んでたな。裏オークションで使う気だったのは間違いないだろう。その後も部屋を漁り、使えそうな物や金になりそうな物をマジックバッグに詰めて迷宮を出た。
迷宮で手に入れたものを売って、宿に戻るとシアが不機嫌そうに俺の部屋にいた。
「迷宮に何をしに行っていたのですかご主人様?まさか夕方になるまで戻らないとは思いませんでした。」
シアは買い物などを終わらせた後、ずっと俺の帰りを待っていたようだ。俺は丁度良いと思って、シアに悪魔の角と闇オークションの招待状を見せた。
「これは・・・悪魔の角⁉︎ご主人様‼︎これはどこで!!」
「落ち着けシア。たまたま迷宮の隠し部屋で見つけたんだよ。怪我とかはしてないから安心しろよな。このマジックバッグもその時手に入れたヤツだ。」
そう言ってシアに二つのマジックバッグも見せた。シアは驚いた様子でマジックバッグを触った。その後、闇オークションの招待状を手に取った。
「これは招待状ですか?」
「そうだ。今からその招待状で裏オークションに行く。」
「えっ?い、今からですか?」
「そうだが。」
シアはおかしな人を見る目で俺を見た。なにを当たり前のことを。使わなきゃ損だろ。俺は前にセルフィアから貰った礼服を着て、嫌がるシアを引きずりながらオークション会場に行った。場所は一見ただのバーだが、店主に招待状を見せると店の奥にある地下に案内された。そこには広々とした会場があり、前にはかなり大きいステージがあった。シアと適当な席に座り、オークションの開始を待った。
すぐにオークションは始まった。出品された商品の中には呪われた魔道具や希少種の魔物や美しい女や屈強な亜人奴隷など色々とあったが、グッと来るものはなかった。シアはあまり良い顔はしていなかった。商品は次々と落札されていき、ついに最後の商品になった。
「それでは、今回の目玉商品‼︎竜の里を追い出された呪われし黒き竜人です‼︎名前はありませんが男を一切知らない処女です!!年齢は18歳、希少な竜人の中でももっと希少な黒髪の竜人です‼︎そしてこの美しい容姿、普通ならば高位貴族に売りますが、オーナーの気まぐれにより今回のオークションで出品されることになりました‼︎」
ステージに現れたのは綺麗な意匠の首輪をした黒髪の人間っぽい姿の絶世の美女だった。司会が竜人と言っており、頭から竜の角とお尻の方から尻尾が生えているので間違いないだろう。表情は乏しく、人生に絶望した奴がする目をしていた。それをただまじまじと見ていると、突然夜月が騒ぎ出した。
『主人よ!!我と似たような気配がしたがなんじゃ‼︎』
『うるさいぞ夜月。どうしたんだよ。そんなに慌てて。』
夜月に対して、念話もどきで応対した。
『あの娘か!!主人よ‼︎我からお願いじゃ!!あの娘を買ってくれ‼︎』
『は?』
『我の為と思って頼む‼︎お願いじゃ‼︎』
『わ、分かった。』
夜月のもの凄い勢いに、俺は戸惑いながら夜月のお願いを叶える事にした。だが、まず様子を見てからだ。
「では、まず金貨500枚から始めます‼︎」
「550‼︎」
「700‼︎」
「800‼︎」
「800が出ました‼︎他にいらしゃいませんか‼︎」
白熱する会場で、俺はゆっくり手を挙げた。
「1000。」
余裕と判断した俺はまず、1000と言った。周囲は更に盛り上がった。司会はかなり興奮した様子で叫んだ。
「何と1000が出ました‼︎‼︎他にどなたかいらっしゃいますか!!」
すると先程800と言った、小太りの男が手を挙げた。
「せ、1500‼︎」
「2500。」
俺は男の金額より高い額をすぐに提示した。そして、貴族ではない商人ばかりのせいか周囲は唖然としていた。
「2500だと。」
「なんと。」
「これだけの額を何の躊躇もなく出すとはまた・・・。」
会場が騒がしくなり、司会は流石に予想していなかったのか呆然としていた。会場の隅にいた女が司会に何か合図をすると司会は慌てて進行を再開した。
「2500です‼︎今回のオークションでの最高額です‼︎他にこれを超えるお客様はいませんでしょうか‼︎」
小太りの男は俺を睨んできたが、俺は気にせず周囲を見た。これ以上の金額を提示する奴は出て来ず、竜人の女は俺が落札した。シアは夜月との話を聞いていたらしく、無言で何も言わなかった。落札した女を受け取りに行くと小綺麗な部屋に案内された。そこには、司会に合図を送っていた女が高そうなソファーに座っていた。
「ようこそ。私はここを仕切っているオーナーのテリーザだ。アンタはロスト、だったかな?」
「そうだ。で、こんなとこに連れて来て何のようだ。」
女は人当たりのよい笑みで俺を迎えたが、俺は裏があるのが分かりきっているのですぐに本題が何か聞いた。すると女は興味深そうに俺を観察して言った。
「なら、アンタらはどうやって招待状を手に入れたんだい?招待状を渡した相手の名前は名簿にしっかり記録してるんだが、アンタらの名前はなかったんだがね。それに丁度来ていない客が二人いるのよね。偶然とは思えないけれど、貴方はどう思う?」
やっぱりバレてたか。さて、どうするかな〜。
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作者です。迷宮編はさっさと終わらせて現実編に移ろうと思っています。
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