第3話 「ガリス平原」
次の日、エリオットとリリアナはガリス平原の南を探索することになった。
「エリオット、あそこ見て!」
リリアナが指さす先にはとても立派な神殿が見えて来た。
近くまで見にいくと
『クロノ神殿』
時の奇跡を祀る。
「クロノって確か時の神様だよね?」
「そう!大昔に起きた旧世界最終戦争。
その最終戦争で使われた遺物によって人類は滅亡の危機を迎えていたの。
海が枯れ、大地が荒れて動物も死に絶え、食べ物も尽きて人類がみんな死ぬんじゃないかってなった時に空に穴が開いて現れたのがこのクロノって神様。
そして地上の時間を巻き戻して自然や海、動物たちの命を蘇らせたの。
ただその余波によってある問題ができて、それがモンスターの出現につながるの。」
この世界はかつてクロノという神によって救われたのは事実だが、その代償としてどこかからモンスターが湧き出てくることになっている。
「リリアナ、そしたら今度ここ探検してみようよ!」
「そうだね!エーベの町に立ち寄って準備できたら行ってみよう!」
そうして2人は神殿を後にした。
ーーーーーーー
そうして元の道へと戻り、さらに南へと進んでいく。
果てしない草原とどこまで続いているのかわからないくらい長い川。
唯一獣道のように道が引かれているくらいで人が手を加えた要素がほとんど見当たらない。
しばらくまた歩いていると、冒険者と見られる人がいる。
その冒険者はモンスターの大群と戦っている。
「見て、あそこでモンスターの大群がいるよ!
助けに行こう!」
リリアナはエリオットに提案して冒険者の元へ走っていった。
そのモンスターはリスに羽が生えているモンスターで主にリスに似つかない鋭いキバで攻撃してくる。
全部で40匹くらいいる。
「フレイムショット!」
リリアナは走りながら既に詠唱と魔力を込めていた。
3匹をリリアナは撃ち抜いた。
「ありがとう2人とも!
すまないが手を貸してくれ!」
冒険者たちと合流した2人はそれぞれモンスターと応戦することに。
リリアナは魔法で次々と打ち抜き、エリオットは持っているひのきのぼうでひたすら叩いている。
だが40匹もいるからなかなか数が減っていかない。
「こうなったらあれを使うしかない。
みんな下がってて!」
リリアナはみんなに後ろに下がるように言った。
そして新たな魔法の詠唱を行い始めた。
「運命の女神よ、私にかのものたちを爆破させる魔力を付与したまえ。」
リリアナの周りに黄色い光が照らされている。
魔力だ。それを一気に放つ。
「シューティングボマー!」
40匹近くいるモンスターが一斉に倒された。
対象の範囲を爆発させる初級魔法だ。
「すごいよリリアナ、あっという間に片付けちゃったね!」
「伊達に魔法使いって名乗ってないからね!」
「助かったよ、ありがとう!
2人はどこへ向かう途中だったんだい?」
「エーベの町に向かってる途中なんです!」
「そうだったんだ!今おれもエーベの町に向かってるんだ。
よかったら同行しないか?」
冒険者に提案されて同行することになった。
何人かで動いた方が安心できるからである。
「エーベの町では何目的で行くんだい?」
「私たちは冒険を始めたばかりなのでそこで消耗品や武器とかを買えればと!」
「そうなんだ!冒険は楽しいぞー!
いろんな町やダンジョンとかに行ったり特産品を食べたり自由気ままにできるからな!
自己紹介が遅れたけど、おれはマイク。
よろしくな!」
エーベの町まではマイクと共に向かうことに。
日も沈み始めてきたから泉がある場所で野営をすることになった。
マイクは元料理人ということもあり、手先がすごく器用だった。
そして今回は羊の肉を使用したステーキだ。
スペアリブ風。
「美味い!こんな料理初めてですよ!」
「ほんとだ!このステーキすごく美味しい!」
「だろ?
こう見えて一国の王様や貴族たちに料理を振る舞ってたんだ!
さぁ、食べ盛りだからじゃんじゃん食べてくれ!」
2人はマイクの作った料理に心を奪われた。
気づいたらあっという間に平らげていた。
「さぁデザートもあるぞ!
ちょっと簡単なものだけどな。」
差し出して来たのは遠い異大陸のプリンと呼ばれる食べ物。
一口食べると口の中でとろけていく食感。
それでいてカラメルソースがまろやかな風味、とても甘い。
「んー!
こんなデザートが平原で食べれるなんて幸せ...」
リリアナはすっかりマイクの料理の虜になっていた。
エリオットもレシピなどをマイクに教わっているくらいだ。
その日はとても疲れが取れて幸せな顔で眠ることができた。
ーーーーーーー
次の日、しばらく歩くと町が見えてきた。
とうとうエーベの町にたどり着いたのだ。
「あれがエーベの町...」
エリオットは住んでた町以外に行くのは初めてだったから驚きを隠せなかった。
「やっとたどり着いたな!」
マイクもほっとした顔で言った。
あの大群に襲われていたから無理もない。
「私たちはいろいろと見て回ろっか!
マイクさんはどうするんですか?」
「おれはちょっと寄るところがあるんだ。
だからここでお別れかな。
もし何かあれば、夜は酒場にいると思うから気軽に声をかけてくれ!
それじゃまたな!」
短い間だったがマイクと冒険をすることができた2人は門をくぐり、町の中へ入っていく。
派手な建物はないが人情味が溢れる商店だったり宿屋や武器屋、道具屋など幅広く店が並んでいる。
リリアナとエリオットはさっそくまずは道具屋で薬や消耗品を買いに向かった。
ーーーーーー
その同時刻、エーベの町路地裏にて。
「これだけあれば足りるか?」
「あぁ、間違いない。
これを使って町を支配する時が来たな。」
「明日の夜が楽しみだな。」
とある商人、冒険者、そして貴族の3人が会合して町を乗っ取ろうと画策をしていた。
すると路地裏に1人の男が入って来た。
「何昼間っからたくらんでんだか。」
「な、お前は!?」
その姿はあのマイクだった。
〜続く〜
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