第2話

「センパイ、今夜のご予定は?」


 赤鼻のトナカイくんが、訊く。


「今夜は、神さまの誕生日。会った事もない知らないオジサンだけど。それでも聖なる一夜。もちろんお祝い。帰って私を待っているビールとポテチ」


 すると、5分後。

 私とトナカイくんは、お店でカンパイ。

 二人でいると、

 一人よりも二倍楽しい聖夜クリスマスイブ

 お店を出る頃には、ケラケラ笑う私たち。

 いったい何がおかしいの?


 去年のクリスマスよりも楽しさ三倍、帰り道。


 ひとりきりの部屋で見る夢は、五倍楽しい夢の中、

 赤鼻のトナカイが曳く橇に乗り、世界を旅をする変な夢。


 翌朝、目覚める私。

 小さな小さなペッタンコの胸の中、生まれた温もり。

 これは、いったい何かしら?

 とりあえず、知らないオジサン、

 いえ、神さま。

 感謝いたします。


 ところで、

 知らないオジサンとの関わりは、よくわかりませんが、年が明ければ初詣。

 やはりこちらにも神さまが。

 

 ここで、神さまにご質問です。


『私の小さな胸の中、生まれたものは何でしょう?』


 質問の答えはありませんが、合わせた手をおろし、振り返ると赤鼻のトナカイさん。


「あれ、センパイ?偶然ですね」


 初詣の参道は、賑やかな屋台の皆さん。

 二人でいただくリンゴ飴。


 私のホッペもリンゴ飴。

 彼のお鼻もリンゴ飴。


 

 ふたり甘酒、乾杯すると、

 温もり胸に広がって、

 見つめていたい彼なのに

 視線が絡むとそらしてしまう。


 恥ずかしがり屋な

 私の視線。


 とっても寒くて温かい、

 今年の始まり。


 恋の天秤傾きました?



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