君がそこに居るなら

@Kayaamata

第1話

君がそこに居るなら」


彼女は、いつも僕に笑いかけてくれた。何も持たないと言う僕を、いつも否定してくれた。


空を舞う粉雪。灰色の雲から落ちるそれは、アニメで見るそれとは程遠く、お世辞にもきれいとは言えない。彼女と別れてもう1年。未だに僕は前を向けていない。彼女の居ない世界が日常化し始め、段々と記憶が薄れていくことにどうにもならない憤りを感じていた。伝えたいこと、話したいこと、それら全ては僕の中で風化していき、そしてそれは、やがて後悔へと形を変える。歩き慣れた道がいつもより暗く見えるのは、君が隣に居ないからだろう。


僕にとって、彼女は救世主だった。君が居たから、人と関われるようになった。君が居たから、僕はまた笑顔で過ごせるようになった。彼女は僕の全てを変えた。彼女は何も持っていなかった僕にとって、初めて大切にしたいと思う存在であり、初めての友達だった。君は僕を照らしてくれた。君は僕に道を与えてくれた。君は僕の隣りを歩いてくれた。君は僕を笑ってくれた。君は僕に思い出をくれた。君は僕と友達で居てくれた。僕にとって君は、彼女は、僕の憧れだ。

「ありがとう。君が居たから、僕はこの人生を楽しめた。君がそこに居るなら、僕も行くよ。少しだけ待っててくれるかな。だいたい80年くらい。」

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