第8話
敵を逃した
(父上を救わなければ……)
父が黄亜の兵士として戦っていると考えただけで、
睡魔に抗えず、カクリと頭が落ちれば、背後から鋭い鞭が
「貴様の処遇が決まったぞ」
五十を過ぎているはずだが、全く年齢を感じさせない。猛禽類のような鋭い目で、
「貴様は使えるからな。殺しはしない。だが飛鳥を失った責任は取ってもらう」
いつの間にか、飛鳥の沈没も、
「使者として黄亜へ行け。和約の交渉だ。奴らはなかなかしぶとい。三年で決着がつくはずが十年だ。ここらで、消耗戦を終わらせようじゃないか」
黄亜へ行ける。願ってもない話だった。
「相手は黄亜だ。捕らえられ、これより酷い目に遭う可能性は十分にある。だが、誰かがいかなければならん。黄亜の兵力と内政も知りたい」
「……承知、いたしました」
カラカラに渇いた口で答えると、十日ぶりに荒縄が解かれた。くったりとその場に伏せると、どろりと深い眠気に襲われ、プツンと意識が切れた。
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