第2話 地獄

 とても大きい音にびっくりして目が覚めた。目を開けてみると、あり得ないことが起こっていて、僕は呆然とした。なんと、トミー星にエイリアンが攻めてきたのだ。エイリアンとは、集団で星を襲い、その星を占領し、資源や財産、人民を搾り取って利益を得て、そのお金で生活する集団だ。王都が、焼き尽くされ、破壊し尽くされ、全てが瓦礫とゴミに変わっている。ヒロトの家はほとんど壊れていた。「ヒロト、大丈夫か?」と声をかけると、返事がない。ヒロトの脈を測ると、生きているようだ。僕はヒロトが生きているとわかり、ほっとした。周りには、たくさんの赤い液体と、肉片でいっぱいだった。「これは血だ。そしてあの肉片は、人の肉だ。」よく見てみると、その肉片の正体はヒロトの両親だった。僕はびっくりしすぎて、頭が真っ白になった。ヒロトの両親は死んでしまったのだ。

 しばらく経ち、少し暑いな、と僕は思って、上を向いた。その瞬間、僕はその暑さの原因が分かった。なんと上から、無数の隕石が降り注いでくるではないか!

 これは大変なことになったぞ。エイリアンがもうすぐで王都に来るはずだ。あと一時間ほどで、隕石までもがトミー星に衝突するだろう。どうやって逃げようか。周りのトミー星の住民は、もうロケットで脱出し始めている。それを見てピンときた。僕専用の倉庫に、脱出ロケットが三台あったではないか!思ったと同時に、自然と体が倉庫へ向かっていた。倉庫に向かう途中は、家族を亡くした人や、家がなくなった人たちであふれていた。

 やっとのことで倉庫に着くと、中を覗く。倉庫の中を見て、僕は呆然とした。脱出ロケットが、三台ともなかったのだ。

 おおかた、他の人が使ったのだろう。「くそっ」僕は歯軋りし、地団駄を踏んだ。これからどうしたら良いだろうか。僕は上を見た。隕石が着々と近づいている。とりあえず、愛用している武器とヒロトを担ぐ。ちなみに僕の背負っているリュックサックは、物を無限に入れることができる。そのリュックサックに、ヒロトと武器を詰めこんで、僕はどうやって脱出するかを考える。もう周りに人はいない。全員脱出したようだ。もう死んでしまうんだな、と思い最期に、生まれ育った宮殿を思い浮かべた。僕の部屋にはいつも映画のポスターが貼ってあったよな、キッチンでは、いつもコックが騒がしかった。今思えば、騒がしい音ではなく、賑やかな音だったのかもしれない。リビングには、僕が小さい頃に交通事故で死んでしまった両親の写真が飾られていた。そして庭の北側には、プールがあった。小さい頃に溺れかけたのを思い出す。今でも泳げないけれど。そして南側には……

 そうだ!脱出ポッドがあった!僕は倉庫から出ると、庭に向かって全速力で走り出した。

 庭に着いた時には、疲れて死にそうだった。だが、アドレナリンが身体中を駆け巡っていたおかげで、脱出ポッドに飛び乗れた。目的地はセットしなかった。というかできなかった。なぜなら、今は脱出することに夢中で、そんなことまでは気が回らなかったし、出発ボタン以外は使い方が分からなかったからだ。勢いよく出発ボタンを押す。

 その途端に機体はうき、真っ直ぐに宇宙へと飛び出していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宇宙の記憶 @ryuseiclassic

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画