宇宙の記憶
@ryuseiclassic
第1話 最後のまともな一週間
僕の名前はトミー。僕はトミー星の王子だ。人々から愛される王になるために日々努力をしている。
「なんで全部僕に押し付けるんだよ!」
「あなたは次の王だからよ!」
「だからって自由がないわけじゃないだろ!」
「もう、勝手にしなさい!」
「言われなくてもそうするよ〜だ!」
今日も朝からスキルを身に付ける訓練をしているというのに、お母さんは何も分かっていない。僕が疲れているのに、今日も分単位のスケジュール帳を渡され、自由時間をふやしてもらうようにお願いしたら喧嘩になったのだ。僕はトミー星で一番強い。まあ、それも日頃から努力しているおかげなのだが。
この世にはスキル、という特殊能力が存在する。スキルを生まれつき持ってる人もいれば、訓練してスキルを手に入れる人もいる。僕が苦労して手に入れたスキルは、《ジャンプ Ⅲ》と《高速移動 Ⅹ》というスキルだ。Ⅰ〜Ⅹまでのレベルがあり、レベルがあがるごとに能力が強化される。訓練を重ねてもレベルは上がるが、時間がかかる。スキルとスキルのレベルは、体のどこかに刺青のような印ができる。その印は、どんだけ引っ張っても取れないようになっている。ちなみに、僕専用の倉庫には、たくさんの愛用している武器と脱出ロケットが三台ある。庭には脱出ポットという少し大きい脱出ロケットがあるけれど、性能が良すぎて僕には運転できない。
訓練が終わり、僕は昼食にうどんを食べ、午後からは勉強をした。王子には欠かせない、立派な王となるための勉強だ。勉強が終わると、明日はいい日になりそうだ、と思った。その勢いで風呂に入る。今日も夕陽が綺麗だな、などとつぶやいた。口喧嘩した甲斐があったのか、ついにお母さんが折れ、今日の夜から僕は一週間ほど親友のヒロトの家に泊まりに行く。ヒロトの家は、星の中でも王に次ぐお金持ちで、強力な財力と出世力を武器に、貴族のトップに君臨している、王に最も近い貴族だ。ヒロトとは、同じ学校の幼馴染だったので、よく一緒に遊ぶ。夕食に、スパゲッティを食べてから、ヒロトの家に向かった。もちろんスキルを使って。
ヒロトの家に着くと、ヒロトと、ヒロトの両親は、温かく迎え入れてくれた。僕とヒロトは、真夜中になるまでトランプをして遊んだ。ヒロトのお母さんが、
「もう寝なさい」
と言わなかったら、僕たちはいつまでも遊んでいただろう。
ヒロトの部屋で一緒に寝ることになった。ヒロトのベッドは二段ベッドだ。僕とヒロトはジャンケンして上で寝るか下で寝るかを決めることになった。僕は、ジャンケンに見事勝利し、上の段のベッドにに横たわった。照明が消える。
ヒロトはもう寝たみたいだ。寝て二十分も経ってないのに眠れるのは凄いな、と思う。僕はなかなか眠れないまま、天井を見ていた。しばらくすると、睡魔が
「もう寝ようよ」
と囁きかけてきた。僕は素直に睡魔に体を預け、眠りの世界へと引き摺り込まれていった。
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