対少女編Ⅵ
手が下ろされたのと同時に雫は走り出した。
そしてすぐに真森はそれに気がついた。
透の魔法分析の通り、目が瞬時に開き普段の学校での姿とは全くに異なる鋭い攻撃を雫に向かって飛ばす。
首や頭部を狙った蹴り。
腹部や顔を狙った拳。
次々に繰り出されるそれらを雫は全てかわしている。
避ける時の表情は変わらずだが額には汗が見え、攻撃を避けると同時に後方に下がる足の動きがだんだんともつれ始めた。
その光景を見て透は考えた。
今のまま攻撃を避けるのはまずいな、精神干渉魔法で動いてる真森に体力消費はない。その上雫は攻撃を避けるので精一杯で彼女を抑え込めるだけの魔法を発動させる時間はないか。なら。
「雫!」
彼は戦闘中の彼女を大声で呼んだ。だが彼女にが呑気に話している暇などない。
「何⁉︎・・・・わかった」
雫は一瞬透の方を見て何かを察したかのように頷きながら返事を返した。
透が見せたのはポケットに入っていたデバイスを空間移動魔法で反対の手から反対の手へと写すものだった。
魔法がなかった頃、マジシャンがよくやっていたようなマジックを魔法で行っただけのこと。現代においては特に珍しいことでもなんでもない。魔法が使えれば子供でもできるのだから。
「5、4」
透がカウントを始めると雫は先ほどまでとは異なり攻撃を避けるために後方へと離れる距離を広げた。
それに伴って追いつこうとしてくる真森の速度は増していく。
「3、2」
カウントが終わる頃になると攻防を続ける二人の距離は最初の三倍近くになっていた。
今だな。
「DOSゾーン!」
彼が使った魔法によって空間にあるUQ粒子内の情報が崩壊を始め、魔法の使用ができなくなった。
攻撃を行っていた真森が放とうとしていた魔法も途中で崩壊した。
魔法の根本的法則である情報粒子ないの情報を壊変して特定の事象を起こす、このためには改変した時に発生する余剰な情報をUQ粒子の空きスペースのような場所に逃さなければならないが、先ほどの透の魔法では膨大な量の情報をUQ粒子に流し込み、その空きスペースを無くしたのだ。これによって三人のいるこの空間では新たな魔法の行使ができなくなった。
それを理解したであろう真森を操る敵は再び雫に距離を詰め始めて。
だが雫からは攻撃を避けようとするような動きは全く感じられない。
「1、0」
そしてカウントは終わった。
雫と真森の距離はさらに縮まり、拳があと少しで雫の顔にあたりそうになっ時、真森の前にいたのは雫から透に入れ替わっていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます