対少女編Ⅴ
正方形に開いた穴から地下に続く階段を二人は降りる。
地下は点々と天井についている薄暗い明かりが照らして空気は冷たい、そして巨大な空間でありながら高い天井を支えるために何本もの柱が一定の距離ごとに建てられている。その上長年使われていなかったがために換気や空調設備はもちろんのこと、そういった衛生面での設備せず、地下内の空気は酷いものだ。
「長い間ここにいたくはないな」
「早く美織を見つけて上に戻ろ」
静かな地下には二人の足音と話し声だけが微かに響いていた。
「止まって、ねえあれ・・・・」
突然、透の隣を歩く彼女が彼の前に手を出して動きを止めて少し遠くにある柱を指差した。
「真森!妹の雪の方がなんでこんなところに居るんだ!」
大きな声で言いそうになった言葉を飲み込んで隣にいた雫の耳元に逃した。
「わからない、でもなんだか・・・・寝てる?」
遠くから見えた彼女は地面に座り背にした柱に寄りかかって目を閉じていた。
「雪が犯人、てことはないよね」
「多分、おそらくだが何者かの魔法で今のあの状態にさせられているんだろう」
「どうする?先に雪を助ける?」
「やめておいた方がいい、今魔法分析で雪にかかった魔法を調べたら特定の人物以外には攻撃をするようにさせる精神干渉型の魔法が使われてるのがわかった。多分魔法の有効射程圏内に入るとすぐに襲ってくる」
「雪がこの件の犯人たちと繋がってるってことはないよね?」
雫は心配げな表情を彼女へと向けている。
透も一瞬その可能性を考えた。
「確実にはわからないがもし真森が今回の件の犯人たちの仲間なら彼女に精神干渉型の魔法を使う意味は無いんじゃないか」
「確かに、でもどうやって雪を助ける?永原も助けないといけないけど雪もどうにかしないと」
「そうだな・・・・真森の動きをどうにかして止めてくれるか?俺は魔法破壊で真森にかけられた精神魔法を破壊する。これが一番安全でリスクも低い」
「わかった、じゃあ合図はそっちでお願い」
そう言うと雫は今の雪との距離を維持しながら透から見て右手に回った。
雫の方にアイサインを送ってから一つ目の魔法を発動させた。
半径200メートルとする円状の空間を切り取り、その指定空間内と外を分けてそれぞれで起こった事象を他に干渉させないというものだ。
簡単に例えて言えば強い発光体が指定空間内で光っても外には一切明かりが漏れ出さないということだ。
透は天井に向けて伸ばしていた手を雫が見ているのを確認して振り下ろした。
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