対少女編Ⅳ
「魔法の根絶・・・・」
「おそらくね。はい、これが今回の作戦の資料」
「この学校に地下なんてあるんですか?」
資料に目を通しながら透は尋ねる。
「ここは元々軍の施設だからその時の名残で地下のシェルターが残ってる。今となってはただの洞穴だけど」
話す彼女の横で資料を読み終えた透は車のドアを開けた。
「透くん、これ忘れてる」
そう言って水島は通信用のイヤホンを渡した。
「ありがとうございます」
「君が忘れ物なんて珍しい、よほど焦ってるのね。君にここまで心配をさせる子が雫ちゃん以外にいるなんて少し驚いた。気をつけてね、無茶だけはだめだよ」
「はい」
敬礼をして急いで学校へと戻っていく透、その後ろ姿を見ていると彼女はデバイスへの着信に気づいた。
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「すまない遅れた・・・・真森先生は?」
「ごめん止めたんだけど、先生やっぱり他の先生に知らせてくるって言って行っちゃって・・・・」
「そうか、ならすぐに入らないと。先生達が戻ってくると俺たちだけで会場内に入るのは難しい」
「そうね、じゃあ」
宮咲は片手を透に向けて差し出した。
彼が彼女の手を握ると二人は透明になった。
「隠すの、上手くなったな」
「それはまあ練習してるからね、透の隣で、魔法を使う者としてそこに入れるように」
「・・・・じゃあ俺も少し」
今度は逆に透が魔法を使った。
「何の魔法?」
魔法分析のできない彼女には当然のように何の魔法科は分からなかった。彼女だけというよりは他のUQ式の人間も出来ないのだが。
「防御と貫通の二つ。敵に気づかれないように使える魔法はこの程度が限界だ」
「貫通って?今まであった?」
「いや、この前完成したばかりのだ。使うのは今日が初めて、魔法性はあらゆる結界的防御魔法の貫通だな」
「すんなりすごいこと言うね」
「・・・・行くぞ」
「うん」
二人は会場への不正な侵入を防ぐために付けられた防御魔法の方へと進む。
透の隣で本当に通り抜けられるのかという気持ちを持ち、少しドキドキしながら雫は進んだ。
体に防御魔法が触れる感覚は弱い静電気に触れた時のものに似ている。
「ドキドキしたけどとりあえず入れて良かったよ、じゃあ透明化の魔法は一旦解除」
「いや、発動したままでいてくれ。まだ試合用の撮影カメラが回収しきれてない」
彼が指さす方には建物の間を飛行するカメラ付きドローンが見えた。
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魔法の痕跡が多々残る廃墟の街並みを横目に二人は進む。
「場所はわかってるの?」
「さっき水島さんから教えてもらったから」
「水島さん?どうしてあの人がここに来てるの・・・・まさかこの件て私たち打撃連隊の仕事なの⁈」
「どうもそうらしい・・・・ここか」
会場内の一つの建物を見つけて透は中へと入っていった。
それに少し遅れて雫も続く。
隊長と水島から聞いた内容を雫に話しながら地下へ進むための入り口へと向かう。
「デバイスの地図だとこのあたりだが」
二人の着いた室内は建物の中のただの一部屋だった。
「目視では何もできなさそうだけど・・・・魔法だとどう?」
尋ねられた時、透はすでに魔法を使用しており周囲の空間が青白く光っていた。
青白く光るのは情報粒子であるUQ粒子から内部の情報を読み取っているため。感情度が強いほど魔法使用者の周囲が青白く発光する。
「ここか・・・・」
そう言って彼は床に触れた。
少しして床に正方形に開けられた穴が出現した。
「永原はきっとこの下にいる」
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