対少女編Ⅲ
永原の件で緊張の空気が高まった3人のいる場に突然の着信音が響いた。
「すみません、俺です。少し失礼します」
デバイスを片手に透はその場を離れて嫌な予感を感じながら人気の少ない方へと向かった。
「誰だ」
通話越しの相手に聞こえる透の声は冷徹なものだった。
「おっと、もしかして瀬上透ではなかったかな?」
透には彼の名を知る通話相手の声を聞いてすぐに謝罪をした。
「すみませんでした、石塚隊長からの連絡とは知らずに」
「なんだ、やはり君だったか。何、そんなに謝る必要はない。間違いは誰にでもある。それより君が今そうして気が高ぶっている理由と私からの連絡内容には関係があると思うのだが・・・・」
それを聞いて息を呑み、少ししてから尋ねた。
「永原美織についてですか?」
「そうだ、つい先ほど反魔法団体のネルガルの日本支部の情報が匿名で送られて来た」
「匿名ですか・・・・」
「信頼度の心配をしているならそれはそこまで問題では無さそうだけど。データファイルには組織の顔写真の公開されていないメンバーの名前は年齢などの情報が同封されていた、もちろんその情報の真偽は確認済みだ」
透の頭には一人の人物が浮かんだ。
この短時間でか、それとも元々準備をしていたのかは分からないが国内でも権限を持つ幾つかの組織の隊長しか閲覧することのできない機密データを持っているなんて・・・・できるとしたら名前も分からなかったあの幼年ぐらいか。
「おそらく組織の人間の情報はただ自分が信頼に値する人物だということを証明するためのものでしょう、まあ方法がいささか引っかかるところはありますが」
「私もそう思うよ。今そちらに水島君が向かっている、もう着く頃だろう、詳しいことは彼女から聞いてくれ。私は君のいる高校の上に話をしなければならない。魔法打撃連隊、瀬上隊員、水島連絡官からの指揮を受け、速やかに任務を遂行されたし」
「承知しました」
通信は終了し運動場の外にちょうど連絡官の車両が来たのが確認できた。
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水島が車を止めると直ぐに横のドアがノックされた。窓の外には透がおり、彼女は周りに人気がないことを確認してから扉を開けた。
透が乗り込むと車内が見えないように車の窓ガラスには特殊な陰ができ、車の各所に取り付けられた装置が作動して車外と車内の音が完全に隔てられた。
「そこそこ危ない状況よ、組織の行動も、もちろん永原さんの方も」
「その二つに一体どんな関連があるというんですか」
「もしU式の人間が魔法を使えたら組織の彼らはこう考えるのでは?U式に使わせるこちができたなら逆をやれば魔法を使わせないようにすることもできると」
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