学年選抜編Ⅳ
巨大な爆発音がした、だがその割には二人のいる周囲の地形が崩壊した形跡はない。
「退場」
「えっ?あ!」
雫に歯がいじめにされた状態の彼女は首から下げたダメージカウンターをみて声を上げた。
通常の攻撃魔法なら4回の直撃ごとで色が変わるはずのカウンターが緑、黄色、赤の3段階を飛ばして退場を知らせる無色となっていた。
退場する少女は一瞬の出来事に驚いて声が出ていない。
「はっ・・・・」
その一方で雫は先ほど展開した索敵魔法で自分のいる場所に向かって来る魔法を検知した。
空を見上げると近くの上空に巨大な刃が見えた。
「危ない!伏せて!」
そう言って近くにいた退場しようとしていた少女に覆い被さった。
周囲に鳴り響く轟音、数秒間地面が揺らされて細かな建物の破砕などが雫の背中に当たる。
「・・・・・・・・・・・・もう大丈夫かしら?」
揺れと破砕の嵐が病んだところで雫は起き上がった。
「えっと・・・・ごめん、名前わかんないけどそっちは大丈夫?」
「・・・・」
雫の背後にいる彼女から方返答はなかった。
それを心配して床に寝た少女の方に駆け寄り魔法を使って体を調べた。
「よかった、気を失ってるだけね、よかった。とりあえず先生たちに知らせないと」
雫自身の手を空に向けて伸ばし黄色の発光体を放った。
それにしても今の攻撃魔法、刃が飛んでくる前にドラゴンの背が見えた。でもこの威力は永原のを越してる。あの魔法を他に使えるやつがいるのかしら?。
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空に登った黄色の発光体を見て選抜戦本部のテントにいた真森直子は近くの机に置かれた通信機を手に取って連絡し始めた。
「こちら本部、救助信号を確認した。今から座標を送るから早急に救助隊をその場に向かわせてくれ」
「わかりました」
彼女は通信を切り近くにいた他の教師に座標を任せるパソコンを持ってテントの端に行き画面を見た。
複数に分割された画面は選抜戦の会場内に設置されたカメラからの映像が映っている。
「これでこっそり透を・・・・」
「何してるんですか?先生」
「は、ひゃい」
自分の出した変な返事を恥ずかしく思ったらしく段々顔が赤くなっていく。
「それで?一体何を?」
透がもう一度尋ねて彼女は諦めたように口を開いた。
「いやその、別にこれで隠し撮りをしようとしていたわけじゃないんだけど、少しだけお前の顔を覗こうと思ったんだが、参加してなかったのか?てっきりお前は出ると思ってたが。交流戦に興味がないのか?」
「ありますよ、ですがすでに俺は推薦で枠をいただけたらしいので」
「推薦って高校代表のか?」
「はい、そうです」
返事を返すとパソコンを閉じた彼女が透に顔を近づかせた。
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