学年選抜編Ⅲ
更衣室で着替えをしながら雫と永原が喋っていた。
「昨日の子供はどなたなんでしょうか?」
「私も知らないんだよね、透は教えてくれないし」
「何かあったんでしょうか?」
「そうかもしれないわね、でも今は透の心配より自分の心配をした方がいいわよ、今日は選抜戦なんだから」
「そうですね、お互い頑張りましょう」
「ええ」
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「それでは選抜戦のルールを改めて確認するぞ」
台の上に立った真森が話し始めた。
「試合前に全参加者にはダメージカウンターが配布される、カウンターの強度には緑、黄色、赤の三段階ある。ダメージが蓄積されるほど赤色に近づき最終的に発光力を失い黒色になるとそのカウンターをつけた選手は脱落。上位10名が交流戦への参加権を与えられる。攻撃は相手に回復不可能な怪我を与えないものとし物理か魔法かは問わない。あ、あと言い忘れたがダメージカウンターは首からかけて他の参加者にも見えるようにな」
真森は説明を終えて台から降りた。
「もう始まるんですね、緊張します」
「そう?美織はあれだけ練習したんだからその結果を発揮すればいいの」
「そうですね、言われて少し肩が軽くなりました。もし雫と戦闘になるようなことがあっても手加減しませんから」
「こっちもそのつもりよ」
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会場となる学校近くの敷地、三学年ごとに分かれた敷地はそれぞれ建物が立ち並ぶ廃墟ステージ、多くの草木が育ち一つの森のようになっている森林ステージ、人一人が身を隠せるほどの大きさしかない岩や廃車などが転がる平野ステージの三つがランダムに振り分けられ、前半と後半で更にランダムに変更される。
「前半は廃墟ステージね・・・・、ますは手始めに敵の位置を調べましょうか」
独り言を呟き、伸ばした腕を彼女の体を軸に一回転させた。目には見えない敵の位置が彼女の頭には正確に入って来る。
まずはそこね。
一人頭の中で言い続け様に伸ばした腕から魔法を発動させた。
「ひゃああああああああ」
雫のいる建物の向かいの建物に窓から少女が一人倒れるのがうかがえた。
次に
彼女が魔法を使った直後を狙って放たれた魔法によって雫のいる場所の近くのビルが倒壊した。
しばらくして砂煙が無くなると倒壊させた少女が出てきた。
そして目の前の建物の残骸をみて一息ついていたが急に彼女の表情から安心さが消えた。
「あんなんじゃ誰も倒せないよ」
その言葉で体を震わせながら手を置かれた肩の方に振り返るとそこには雫がいた。
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